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★フィリピン最高裁判事、中国の主張を一刀両断に
フィリピンからのメッセージ(その1)
2015.6.26(金) 松本 太
マニラに来ています。また来てしまったというべきでしょうか。
昨年、バレンタインデーのカップルで賑わうマニラを訪れて以来、
もう4度目になります。なにしろ、フィリピンの人々からの日本への熱い
期待が尋常ではないのだから、無理もありません。
つい3週間前のアキノ大統領の訪日が象徴するように、日本とフィリピンの
関係は絶好調です。その大きな理由は、やはり南シナ海で中国が急速に
進めている埋め立て工事にあります。大きな中国を前にして、
小さなフィリピンは、単独では立ち向かえないのです。
かといってASEANだけでも心もとなく、アメリカとの同盟関係が頼りですが、
日本のようなアジアの同胞との関係強化こそが、やはりフィリピンの人々の
心の支えとなるといった雰囲気がマニラに漂っているのです。
■国際法に基づいて中国の道義を問うカルピオ判事
今回マニラを訪れたのは、「海洋公共財に関する共通の行動に向けて」
(Towards Common Actions on Maritime Commons)と題して地域の専門家を
集めたワークショップ(6月15日開催)を、世界平和研究所、フィリピン
外務省の外交研究所、フィリピン大学の海洋問題・海洋法研究所の3者
共催で開催することが目的です。
結果から言うと、会議には100人近くの人々とテレビ・カメラのクルーが押し寄せて、
大きく盛り上がりました。というのも、フィリピンの最高裁判所判事で南シナ海
問題についての権威でもあるアントニオ・カルピオ判事に基調講演を快く
引き受けてもらえたからです。翌日のフィリピンの各紙にはカルピオ判事の
言葉が並ぶこととなりました。
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「南シナ海紛争における法の支配」と題する今回の講演を聞いて改めて思いました。
カルピオ判事は、本当にフィリピンにとっての国の宝なのです。どんな国でも、
国家を支える意志と能力と、そして何よりも知的パッションを持った人々がいて
初めて国家が有効に機能するとすれば、中国と対峙するフィリピンにとって
カルピオ判事は本当になくてはならない人物だからです。
南シナ海での中国の不法な動きを前に、カルピオ判事は、フィリピンの直面する
課題の只中に身を置き、冷静な言葉と分析で問題の輪郭を正確に切り取り、
フィリピンの人々ばかりか国際社会に対して国際法に基づく道義を提示しようとしています。
今回から4回に分けて、カルピオ判事の示してくれた国際法の解釈を紹介しつつ、
皆さんと一緒に南シナ海問題を改めて考えたいと思います。(以下略)
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