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★にわか「琉球王」の暴走を嘆く
白岩賢太2015年06月24日 17:21
「苦渋の選択というのがあんた方には分からないんだよ。国と交渉するのがいかに難しいか」。
冒頭の発言は、平成24年11月24日付の朝日新聞朝刊に掲載された翁長雄志氏の
インタビュー記事の一節である。当時はまだ沖縄県知事ではなく那覇市長だったが、
米軍普天間基地の名護市辺野古への移設について、翁長氏が県議時代に推進の旗振り
役だったことを記者から問われ、逆ギレしているようにも受け取れないだろうか。
翁長氏の発言はこうも続く。「革新勢力は、全身全霊を運動に費やせば満足できる。
でも政治は結果だ。嫌だ嫌だで押し切られちゃったではすまない」「本土は、日米安保が
大切、日米同盟が大切。沖縄にすべて押しつけておいて、一人前の顔をするなと言いたい」。
インタビュー中の逆ギレから火がついたのか、その後もまくし立てた翁長氏の怒りの矛先は、
日本政府やヤマトンチュ(本土の人)に向かう。「本土の支援はいらないから基地をどかせ」
とばかりに持論を展開した翁長氏は、このインタビューから2年後、辺野古移設容認派
だった現職を破り知事になった。
辺野古移設をめぐり、就任後も一貫して日本政府と対峙する翁長氏を「沖縄の怒りの代弁者」
として持ち上げるメディアは多い。ただ、最近の翁長氏の言動は、怒りを超えた「恨み」
のように映ってならないのは気のせいか。辺野古移設阻止に固執するあまり、ただの
パフォーマンスに終わった単独訪米や、現政権への執拗なまでの批判は、現実的な判断や
理性に欠けていると言わざるを得ない。
「独善」から「暴走」へと変わりつつある翁長氏の政治姿勢は、良識ある沖縄県民なら
誰の目にも不安に映るはずだ。自らの立場を勘違いした翁長氏を通して、沖縄の怒りが
ヤマントチュに伝えられるのは、それこそ沖縄にとっても不幸でしかない。
沖縄は、先の大戦末期の激しい地上戦で県民の4人の1人が犠牲となり、日本が独立国
として主権を回復した後も、米施政権下に置かれ、わが国の安全保障を一身に背負って
きた経緯がある。
そんな悲しい過去や、戦後70年たった今も癒えることのない「痛み」と向き合う沖縄を
ヤマトンチュだって忘れてはいない。むろん、在日米軍基地の74%が集中する沖縄の
負担軽減も早急に手を打つ必要がある。だが、強大な軍事力を背景に、わが国を日夜脅かす
中国の存在はもはや無視できない。日米同盟を支える米軍基地が沖縄をはじめ日本、
国際社会の平和に必要な抑止力を形作っている現実からも、決して目をそらしてはならないだろう。
わが国の安全保障と国益を無視し、「嫌だ嫌だで押し切ろう」とする翁長氏だが、
このままでは完全に「裸の王様」になってしまうのではないか。にわか「琉球王」はともかく、
沖縄の良識ある「民意」までも孤立させるわけにはいかない。(iRONNA編集長、白岩賢太)
URLリンク(blogos.com)
白岩賢太
総合オピニオンサイト「iRONNA」(URLリンク(ironna.jp))編集長。産経新聞大阪社会部記者時代、
「橋下徹研究」や「吉本興業研究」などの連載を執筆。昨年10月より現職。