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★中国の「歴史戦」を見る(上)「無知」を超えた「意図的な曲解」
投稿日: 2015年06月20日 16時43分 JST 更新: 4時間前
6月6日の産経新聞が伝えるところでは、アメリカ製アクション映画の『ダイ・ハード』や『アルマゲドン』などの主演で知られる
ブルース・ウィリスが、旧日本軍による重慶爆撃(1938年12月~43年8月)をテーマにした中国映画の「大爆撃」(仮題)に
出演するとのこと。彼の役どころは、蔣介石の要請で中国戦線に赴いたシェンノート(漢字で「陳納徳」と表記)将軍率いる
義勇飛行隊「フライング・タイガース」(中国では「飛虎隊」と呼ぶ)の飛行教官とか。義勇飛行隊を名乗ってはいるが、
実態はアメリカ空軍の別働隊に近い。
110億円超とも約70億円ともいわれる破格の製作費を使い、国有大手の中国電影集団公司などが共同製作する
というから、常識的に考えるなら、9月初旬を中心に計画されている「抗日戦争勝利70周年」事業の一環ということだろう。
中国製作の反日映画にハリウッド・スターが出演する。なにやら反日宣伝における統一戦線工作の臭いがしないわけ
でもないが、おそらくアメリカを巻き込んでの反日宣伝はAIIB(アジアインフラ投資銀行)や尖閣問題に対する安倍政権の
動きを横目に、慰安婦問題などを巻き込みながら、いよいよ激化すると考えられる。
これを世にいう「歴史戦」と呼ぶべきかは不明だが、中国が「抗日戦争」という交渉カードを手放さない以上、
やはり中国国内で抗日戦争がどのように表象・記憶されているかを知っておく必要があるはずだ。そこで試みに、
3年前の2012年春に訪れた雲南省西端に位置する山峡の騰冲で目にした2つの日中戦争関連施設を紹介しつつ、
そこで語られている「抗日戦争」を検証してみたい。
■21世紀初頭の「国共合作」
先ずは騰冲が背負った歴史的背景を簡単に紹介しておく。
かつて騰越と呼ばれたこの街にイギリスが領事館を設けたのは、北京で極端な排外主義宗教団体の義和団が猛威を
振るっていた19世紀末のこと。植民地として押さえたビルマ北部の要衝であるミートキーナ(=ミッチナー。漢字で密支那と表記)
を経て騰冲に至り、この街を拠点に雲南省に食指を伸ばそうとした。これがイギリスの狙いであった。
それから40数年後、重慶に逃げ込んだ蔣介石政権を支援すべく、ビルマ領内を経て設けられた連合国側の援蔣ルートの
重要拠点となっていたこの街を、日本軍は攻撃・占領した。だが援蔣ルート奪還を目指す連合国軍は1944(昭和19)年の
5月から9月にかけ、雲南省西部からビルマ北部・東北部にかけて猛攻を展開する。これを滇緬戦争(「滇」は雲南省、
「緬」はビルマ)と呼ぶが、この戦争の最後の激戦地が騰冲だった。イギリス領事館を巡っての攻防は熾烈を極めたといわれ、
現存する石造りの旧イギリス領事館の外壁には夥しい数の弾痕が残っている。
最初に紹介したいのが騰冲郊外の和順村に付設された「滇緬抗戦博物館」だが、先ず軽い驚きを感じたのは、
滇緬抗戦博物館の7文字を揮毫したのが、台湾の総統選挙に"連戦連敗"した元国民党トップの「連戦」だったことだ。
係員に尋ねると、「数年前、連戦が来訪した際に書いた」という。どうやら21世紀初頭の国共合作は中国西南深奥部で
ヒッソリと進んでいたようだ。いや、それだけではない、これにはアメリカも一枚噛んでいるのだ。
■伏せられている「不都合な真実」
博物館の展示は、滇緬方面における抗日戦争では米軍の全面協力を受けはしたが、"悪逆非道の日本軍"と主体的に、
敢然と、雄々しく、犠牲を恐れずに戦ったのは飽くまでも中国人であり、戦いは共産党の指導によって進められたという
"苦しい物語"で貫かれている。当然のことだが、中国人将兵が米軍にとって消耗品でしかなかったなどという「不都合な真実」は
完全に伏せられている。
館内の写真や展示物を目にして最初に気づくのは、無知に基づく誤解のレベルを遥かに超え、意図的な曲解としか思えない解説の類だ。
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日本軍が背負っていたという"悪意"によるデタラメな説明の仏壇(筆者撮影、以下同)
>>2へ続く
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