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★【討論】「配偶者を優遇する相続法制」 吉田修平氏、倉持政勝氏
2015.6.7 12:00
高齢化社会が進展する中、亡くなった人の配偶者の生活に配慮した相続法制のあり方が
法制審議会・民法(相続関係)部会で検討されている。平成25年末に非嫡出子
(婚外子)と嫡出子(婚内子)の相続分を同じ割合とする法改正が実施されたの
がきっかけだ。これに先立ち、法務省の相続法制検討ワーキングチーム(WT)が
配偶者の居住権保護や介護の貢献に応じた遺産分割などを提言している。
推進派の吉田修平弁護士と慎重派の倉持政勝弁護士に聞いた。(池田証志)
◇
《吉田修平氏》
■納得のいく相続に好機
--象徴的な例として、夫と死別した妻がそれまで住んでいた家屋から退去を迫られると懸念されている
「実の子供たちや夫の兄弟との間であれば、妻を追い出してまで家屋を売却して
遺産分割するようなことは通常はない。ただ、非嫡出子が関わったり、家屋しか遺産が
ない場合ではレアケースだが、ありうる。フランスのように配偶者の短期的な居住権の
ようなものを認めてもいいのではないか」
--妻が家事などの家庭生活を支えてきた努力を遺産分割に反映させようという案もある
「食事や洗濯、掃除、育児をこなす妻がいてこそ、夫が外で働いて財産を築いたという
部分はあるだろう。画一的に『配偶者には2分の1』とするのでなく、実質的公平性を
考えて遺産を分割する“納得できる相続”を目指すべきだ。相続でなく“争続”といわれて
久しいが、形式的に処理しようとすることのひずみが出ているのではないか。画一的な商品
を大量消費する時代から何事もオーダーメードの時代になっている。逆に、『後妻業』
という言葉があるように、再婚して間もない後妻が遺産の2分の1を相続するのは納得が
いかないという子供たちもいるはずだ」
--高齢化社会の中で、親への介護の負担も大きくなっている
「現行法では、通常期待される程度を超える“特別の寄与”に該当すれば、遺産分割に
反映することができるが、WTでは他の相続人に比べて介護の負担が大きい人に寄与分を
認める制度が議論されている。これも“納得できる相続”を実現するいい機会だ。
そうすれば、子供たちの間で親の介護を押しつけあうような事態も避けられるだろう。
相続の権利を行使するためには、子供として親を療養看護する義務を果たすという考え方もある」
--妻が家事などの家庭生活を支えてきた努力を遺産分割に反映させようという案もある
「食事や洗濯、掃除、育児をこなす妻がいてこそ、夫が外で働いて財産を築いたという
部分はあるだろう。画一的に『配偶者には2分の1』とするのでなく、実質的公平性を
考えて遺産を分割する“納得できる相続”を目指すべきだ。相続でなく“争続”といわれて
久しいが、形式的に処理しようとすることのひずみが出ているのではないか。画一的な商品を
大量消費する時代から何事もオーダーメードの時代になっている。逆に、『後妻業』という
言葉があるように、再婚して間もない後妻が遺産の2分の1を相続するのは納得がいかない
という子供たちもいるはずだ」
--高齢化社会の中で、親への介護の負担も大きくなっている
「現行法では、通常期待される程度を超える“特別の寄与”に該当すれば、遺産分割に
反映することができるが、WTでは他の相続人に比べて介護の負担が大きい人に寄与分を
認める制度が議論されている。これも“納得できる相続”を実現するいい機会だ。
そうすれば、子供たちの間で親の介護を押しつけあうような事態も避けられるだろう。
相続の権利を行使するためには、子供として親を療養看護する義務を果たすという考え方もある」
--例えば、長男の嫁が義父母の介護をしていた場合、嫁には義父母の財産を相続する
権利がないため、通常は遺産を受け取ることができない
「嫁の貢献を評価し、長男の寄与分として認めてもいいかもしれない。相続法理には反する
かもしれないが、従来の論理で説明できないことを認めることに立法の意味がある。
また、今後は遺言に代わる信託契約がもっと活用されてもいいのではないか」
>>2へ続く
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