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★FIFAを罰する最高のレフェリーは米国だ 国際犯罪の追求で米国が持つ長い伝統と意欲
2015.5.29(金) Financial Times (2015年5月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
スイスの司法長官がニューヨーク市警に対し、パークアベニューへ行ってメジャーリーグ
ベースボール(MLB)の幹部数人を逮捕するよう要請したらどうなるか考えてみてほしい。
身柄引き渡しの令状が適切に書かれていたら、警官たちは恐らくやるだろうが、
何人かのニューヨーク市民は、一体何の関係があってスイスが伝統的な米国の
娯楽に介入するのかと詰問するかもしれない。
27日午前6時にチューリヒ州警察が高級ホテル「ボウ・オウ・ラク」で行った
強制捜査について最も際立つことは、それを求めた人物が誰かという点だ。
ロレッタ・リンチ米司法長官はスイスのチューリヒ州警察に対し、国際サッカー連盟
(FIFA)の関係者7人の身柄を拘束し、訴追のために米国に身柄を引き渡すことを求めた。
またしても、米国が国際法において一番長い司直の手を誇示した格好だ。
■米国の司直の「長い手」
ああ、ありがたい―というのが筆者の反応だ。深刻化するスキャンダルを何とか
乗り切ろうとするゼップ・ブラッターFIFA会長の努力にもかかわらず、誰かがFIFAの
汚職を一掃する決意と意志を見せなければならない。
起訴状が出されたブルックリンでは、サッカーは主に公園や学校で行われるスポーツだが、
リンチ長官はいみじくもこれを、自制して手を緩める理由とは見なさなかった。
米国の法執行機関と裁判所が、狙った人間を捕まえるために海外に手を伸ばす伝統は、
よく人を苛立たせる。
だが、FIFAの場合、あるいはもっと広範な汚職の取り締まりについては、米国は正しい。
国際機関が―MLBとは異なり―、賄賂とキックバックの温床となった時には、
単に司法の執行が難しいという理由で腐敗するに任せてはならない。
FIFAが自ら認めているように、FIFA内部では多くの不正行為が行われてきた。
米国と中米諸国をカバーするFIFA傘下の北中米カリブ海サッカー連盟(CONCACAF)は
2年前、同連盟のチャック・ブレイザー元事務局長(その後、米連邦捜査局=FBI=の
情報提供者となった)とジャック・ワーナー元会長が連盟の金庫からの違法な支払いで
数百万ドルのカネを受け取っていたと結論付けた。
だが、79歳のブラッター氏は歩みを止めず、汚職について全く知らないと主張し、
29日に5期目(1期4年)の再選を果たすために支持者をずらりと並べていた。
「ストレス要因は今日、昨日より若干大きくなっているが、彼はかなりリラックスしている。
自分が関与していないことを知っているからだ」。FIFAの首席スポークスマン、
ウォルター・デ・グレゴリオ氏は逮捕劇を受けた状況説明で、こんな印象的な言葉を使った。
ブラッター氏が責任を逃れることがあってはならない。同氏が運営する組織は、
毎年、FIFAの収入から何百万ドルものお金を加盟国209カ国の連盟と傘下の6つの
大陸連盟に回すことで利益供与を促してきた。
FIFAは傘下の連盟が適切に運営されること、そして各国代表がワールドカップ(W杯)
の主催国候補に投票するようカネを提供されるのを防ぐことができなかった。
■ブラッター会長は責任を逃れられない
最近まで、ブラッター氏はこの修羅場を無視する格好の位置にいた。
2012年にFIFAから改革の提案をするよう依頼されたバーゼル大学のマーク・ピエト教授は、
当時本紙(英フィナンシャル・タイムズ)に次のように語っていた。
スイスには「一種の海賊の避難所となってきた歴史がある・・・規制が少ないため、
(スイスに本拠を置く60の国際スポーツ組織にとって)魅力がある」
その後、スイスは国際組織における汚職を防ぐために法律を強化し、現在は、
ロシアとカタールがどうやって2018年と2022年のW杯開催権を与えられたのかに
ついて2度目の調査―米国の調査とは別―を実施している。 >>2へ続く
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