15/05/26 14:42:58.99
★【高木桂一の『ここだけ』の話】露「ビザなし交流中止」読めなかった外務省 対露外交“やられっ放し”日本は腹をくくれ
2015.5.26 06:00
このところ顕著になっているロシアの居丈高な態度に、日本は手をこまねいているだけのようだ。
ロシア側はついに北方領土の元島民らがビザを手にせずに故郷を訪れる「ビザなし交流」と
「自由訪問」までいったん“中止”にする行動に出た。日本側がなおも淡い期待を抱く
プーチン大統領の年内来日はもはや「白紙」になったといえるだろう。
ロシアは5月15~18日に国後島を64人が訪れる予定だった「ビザなし交流」と、
19~22日に色丹島を59人が訪れる予定だった「自由訪問」を直前になって中止とした。
いずれも今年度の1回目だったが、ロシア側から「調整がつかない」と外務省に説明があったという。
平成4年に始まったビザなし交流は21年にロシア側の都合で中止となったことがある。
11年から行われている自由訪問がロシア側の都合で中止となったのは初めてだ。
その後の両国間の調整で、ビザなし交流は7月2日から、自由訪問は6月5日からそれぞれ行うことになったが、
ロシア側の一方的な事情で一時中止となったのは異例のことだ。明らかに日本に対する「嫌がらせ」である。
実はこの事態を約1カ月前に“予言”していた人物がいる。
かつて「外務省のラスプーチン」と呼ばれた元同省主任分析官で作家の佐藤優氏だ。
4月16日に衆院第2議員会館で行われた鈴木宗男元衆院議員主催の「東京大地塾」での講演で、
こんなやりとりがあった。
佐藤氏「日露関係は悪化しつつある状況を、いかに現状でとどめるかが当面の課題となります。
(鈴木)先生、このままいくと『ビザなし交流』が止まるかもしれませんね」
鈴木氏「そうですね」
佐藤氏「ロシア側がパスポートを持って査証(ビザ)を取ってこいと言い出す可能性は十分あります。
プーチン大統領の年内来日は相当難しくなってきていますが、首相官邸なり外務省がそれをどこまで
読めているかは非常に難しいところです」
佐藤氏が懸念する通り、外務省は状況を読めていなかった。
筆者が翌日、ある外務省幹部に「ロシア側が今後、ビザなし交流を止める可能性はあるとみているか」
と直撃したところ、同幹部はこう笑い飛ばした。
「それはない、ない。あるわけない。(ロシアが)それをやったら終わりだよ」
外務省幹部の見立ては見事に外れ、ロシアに「終わり」のことをやらせてしまったのである。
外務省にしろ首相官邸にしろ、対露外交は「機能不全」状態といえるのではないか。
とにかくロシアになめられっぱなしで、満足に“反撃”できていないのである。
日露両政府は5月18日、経済分野の次官級協議をモスクワで開いた。日本からは外務省で経済分野を
担当する長嶺安政外務審議官、ロシアからは経済発展省のリハチョフ第1次官が出席し、極東開発や農業、
医療分野などについて協議を行った。
この次官級協議は3月に東京で開催されることになっていた。
ところが、ロシア側が「経済発展省の幹部人事があった」という理由で一方的に延期した。
その後もなかなか日程が決まらず、ついには「モスクワに来るなら、やってもいい」と言わんばかりに
日本側を呼びつけたのだ。日露関係筋は「ロシア側の対応は日本の経済協力は要らないということだ」と指摘する。
しかし、モノほしそうにノコノコとモスクワまで出向く日本側も日本側だ。
プーチン大統領の年内来日実現への道筋を少しでもつけたいのだろうが、ロシア側に足元を見られるだけだ。
昨年3月のウクライナ南部クリミア半島の併合後、増長を続けるロシアに対し、かくも日本は“甘い”のか。
プーチン大統領が4月16日、停滞する北方領土交渉について「ロシアは日本側と対話する用意があるが、
日本側の動きで事実上頓挫している」と述べ、日本に責任を転嫁した。プーチン大統領はウクライナ問題を
めぐる日本の対露制裁が交渉を継続する環境を毀損していると言いたいのだろう。臆面もなく国際秩序に
背を向けて「力による現状変更」を試みるロシアにそんなことを言える立場にないはずだが、日本側もおとなしい。
>>2へ続く
URLリンク(www.sankei.com)