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★【コラム】筆洗
2015年5月6日
インドでサルが感電し、意識を失った。仲間のサルが失神したサルを叩(たた)いて、意識を回復させた。
昨年末の話である。映像を覚えている方もいるか
▼ところがである。決して介抱しているわけではないという専門家の見方もある。失神したのはボスザル。
仲間が叩いているのはボスが本当に死んだかどうかを確かめているためという。真相はサルのみぞ知るだが、
同じ事象も人によって異なる印象が残るということは歴史において、しばしば起こる。しばしばどころか、
それが人の歴史かもしれぬ
▼三池炭鉱、八幡製鉄所など八県二十三件で構成する「明治日本の産業革命遺産」が世界遺産に登録される
見通しとなった。その経済効果は高く、疲弊する地方にとって登録は大きな宝となる。素直に喜びたい
▼構成資産はいずれも近代化の道を開き、現在の日本の礎となった。これが歴史の光の部分だとすれば、影もある
▼韓国が二十三件の中には植民地時代の強制労働と関係がある施設が含まれると登録に反対している。
韓国側には日本の近代化は負の歴史に映る。日本人にしてもかつての炭鉱での労働は過酷で、苦い記憶もあろう
▼技術革新、富国強兵。歪(ひず)んだ資本主義。近代化には光と影が複雑に入り交じる。光のみを喜び、
影を忘れるのではなく、両方を見る。知る。考える。「遺産」を受け継ぐとはそういうことであろう。
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