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★ネットのデマはなぜ無くならないのか?「8.6秒バズーカー」「翁長知事の娘」から考えるデマと寄生の関係
古谷経衡2015年04月24日 21:30
・「8.6秒バズーカー」は反日芸人?
「8.6秒バズーカー」という2人組お笑いコンビが放つ「ラッスンゴレライ」という珍妙なかけ声が
ブレイク中だということだが、ネットの一部右派的なユーザーから、この「ラッスンゴレライ」は
広島の原爆投下を揶揄したものである、という都市伝説が駆け巡っており、私としてはむしろ
こちらの現象の方に興味を持った。
なんでも、「8.6秒」は広島原爆の日付8月6日の揶揄、「ラッスンゴレライ」というのは、
原爆投下時の号令「落寸号令雷」の事を指し、これは「Lusting God laid light
(ラッスンゴーレーライ・神の裁定の光)」である、ということのようだ。
4月22日発売の週刊新潮では、「反日芸人と急接近?」と題して、安倍総理自身が主催する
「桜を見る会(新宿御苑)」にこの「8.6秒」の二人が参加したことを写真記事で伝えている。
識者らのコメントによると「原爆投下の隠語や暗喩とは到底思えない」(岡部いさく氏)、
「陰謀論の文脈にからめとられている印象」(井上トシユキ氏)など全否定の論調である。
事実、「8.6秒」は50メートル走の記録としてあまりにも遅く失笑のネタになったので、
そこからの命名であることが本人談としてある。「ラッスン~」は当然のことだが、
広島に原爆を投下したエノラ・ゲイ号の機長、ポール・W・ティベッツ・jrが、
そのように叫んだという記録は残されていない。
・原爆投下時の実際の「号令」とは?
「信号音声停止用意―旋回用意」。これがティベッツ機長が原爆投下の際に放った言葉である。
原爆本体を搭載している爆弾庫の解放と、原爆炸裂の衝撃波を回避するため、
機体の急速旋回を準備したものだ。
「信号音声停止用意―旋回用意」
出典:『エノラ・ゲイ ドキュメント原爆投下』マックス・ウォーガン・ヴィッツ著・松田銑訳
ティービーエス・ブリタニカ 1980年 p.434
「ラッスンゴレライ」なんて、どこにも存在していない。この準備指示を受け、
原爆は爆撃手の目視により「完璧な目標」たるT字型の相生橋めがけて投下された。
「ラッスンゴレライ」が破綻してくると、今度はこのコンビによる「ちょっと待って~」の
言い回しが、B-29の機体に「CHOTTO MATTE」と描いてある(ノーズアート)ことからの引用、
このコンビの二人が「韓国式」のピースをしているとか、かつてブログなどで反日的発言を
行っていたとか、吉本興業の関連イベントのウェブサイトのメタタグに「8月6日」と書いてあった、
吉本興業のページから二人の箇所が消えている(恐らくネットユーザからの抗議を心配しての
ことだろう)などの、「証拠」としては何の根拠もないデマが百花繚乱状態で飛び回るばかりか、
「8.6秒」の二人は実は在日朝鮮人である、というまたぞろ「在日認定」まで出る始末である。
・デマを取り上げる「プロ」がデマを補強する
URLリンク(rpr.c.yimg.jp)
このデマに触発されたのか、ある保守系評論家はツイッター上で、「8.6秒」を”この嘘つき在日芸人
”と罵り、それをフォロワーがまたも同ツイートを拡散する状況に至っている。また別の保守系評論家も、
一般の右派ユーザーによる「8.6秒」への批判ツイートを、肯定的な文脈の中でリツイートしている。
このような事例は枚挙にいとまがない。
こうなってくると、論壇誌に投稿したり著作を有するレベルの評論家が、ネット上のデマ・都市伝説を
そのまま組み上げ、そこに自説を展開させ、さらに一般の右派系ユーザーがそれを逆根拠として
拡散する、という悪循環が生まれる始末である。>>2へ続く
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