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★日中首脳会談から何を読み取るべきか?
中国株式会社の研究(264)~中国の変化に焦る韓国
2015.4.24(金) 宮家 邦彦
4月22日インドネシアの首都ジャカルタで開かれた日本と中国の首脳会談で、
日中両首脳は「両国関係改善に向け対話・交流を進める」ことで一致したという。
旅客機にたとえれば、習近平政権は「離陸後ようやく巡航飛行に入った」ということだな・・・。
第1報に接した筆者は思わずそう呟いた。今回は首脳会談後の日中関係を占ってみたい。
・予想以上に高い関係改善意欲
いつもの通り、まずは何が話されたかを確認しておこう。各種報道によれば、今回の会談では両首脳が、
(1)日中関係の改善傾向を評価し
(2)戦略的互恵関係の推進で一致するとともに
(3)日中間の対話と交流の促進でも一致した
という。さらに、具体的には概要次のようなやりとりがあったそうだ。
●冒頭、習主席は「最近、両国民の共同努力の下で、中日関係はある程度改善できた」と評価。
●安倍晋三首相も「昨年11月の首脳会談以降、日中関係が改善しつつあることを評価したい」と発言。
●双方は、戦略的互恵関係を推進し、地域や世界の安定や繁栄に貢献していくことで一致。
●習主席がAIIB(アジアインフラ投資銀行)への日本の参加を促し、安倍首相はガバナンスなどの問題があることを指摘。
以上を見る限り、日中双方の関係改善意欲はかなり真摯なものだったと思う。
中国側は昨年夏までに、それまでの強面外交が予想以上に中国の国際的孤立を招いたことを
深く反省したのだろう。昨年11月の第1回会談に続く今回の日中首脳会談もそうした中国側の
対日戦術変更の結果と考えるべきだ。
・歴史問題は引き分け
筆者が最も注目したのは歴史問題についてのやりとりだった。
今回は習主席が9月の抗日戦争勝利記念行事に日本を招待し、「日本が隣国の懸念に真摯に対応し、
歴史を正視する積極的なメッセージを発するよう望む」などと発言したらしい。予想通りではあるが、
ある程度抑制された言い方でもある。
これに対し、安倍首相からは「村山談話、小泉談話を含む歴代内閣の立場を全体として引き継いでおり、
今後も引き継いでいく」と述べつつ、「先の大戦の深い反省の上に、平和国家として歩んできた姿勢は
今後も不変だ」と発言したという。これもほぼ予想通り、ここは双方とも言いっぱなしということだ。
内外マスコミの一部には「中国側の立場に変化はなく、安倍首相のバンドン演説は不十分と批判している」
と見る向きもあった。
しかし、今回のやりとりや中国側反応を冷静に見ていると、少なくとも中国側はこうした安倍首相の
発言をある程度予想したうえで、あえて今回の会談に応じた可能性が高いように思える。
今回両首脳が「戦略的互恵関係」について一致したということは、今後「靖国参拝」が日中間で
大きな問題となる可能性がかなり低下したことを意味する。
日中間にさらなる「agree to disagree(見解の相違としてそれ以上争わないこと)」の共通認識が
生まれるか否かは、今後中国側が安倍首相の米議会演説にいかなる反応を示すか否かがカギになると思う。
・会談はサプライズか
今回は複数の記者から「突然の首脳会談に驚いたか」と問われた。
どうやら、内外マスコミの一部にとって首脳会談の実現はサプライズだったらしい。
報道によれば、日中外交筋が(今回の首脳会談は)「短時間ならできるかもしれない」との
見通しを示したのは会談前日だったそうだから、驚くのも無理はない。
しかし、会談実現には様々な仕かけがあったはずだ。常識的に考えれば、日本側はかなり前から
中国側に会談を打診していたに違いないと思うのだが、いずれにせよ、当然、中国側はすぐにOKを出さない。
様々なやり取りを経た後ゴーサインが出たのは最後の段階だろう。これが中国側の常套手段である。
日本側は中国側からゴーサインが出ない限り情報をリークしない。確証のないまま
「首脳会談の可能性」を表に出せば、会談が実現しなかった時のダメージが大き過ぎるからだ。
もちろん、中国側は中国側で、この種の情報はリークしない。
首脳会談が突然決まったかに見えた理由はこのあたりではなかろうか。 >>2へ続く
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