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★助ければ助けるほど、難民は増えていく---リビア沖の難民船沈没事故から考える、EUの欺瞞
2015年04月24日(金) 川口マーン惠美
・4月の18日間だけで難民1500人が地中海で水死
4月18日、難民が鈴なりになった船がリビアからマルタ島に向かおうとしていた。
おそらく900人近くが乗っていたと言われ、そのうち数百人が船倉に閉じ込められていた。
そこに、ポルトガル籍のコンテナ船が通りかかり、甲板にいた難民が助けを求めようと一斉に船の
片側に寄ったため、船は傾き、沈没した。水温は17度だったが、たいていのアフリカ人は泳げない。
また、女性や子供も多かったらしく、助かったのはたったの28人。その他は全員、水死した模様だ。
その6日前の12日にも、やはりリビア沖で難民ボートが沈み、約400人が亡くなった。
地中海では4月の18日間だけで少なくとも1500人が水死しているという。しかし、この数字とて、
確認できた沈没船から得られたおおよその人数であり、実際には、より多くの難民船が地中海に
漕ぎ出し、そして、誰にも気づかれないまま沈没している可能性は高い。今、地中海には、
どれだけの死体が漂っているかわからない。
EUは、ここに至って深刻な状況に陥っている。難民は、とにかくあちらこちらから押し寄せてくるが、
対策はまるで追いつかず、難民政策はあって無いようなものだ。難民の出身地は、シリアをはじめ、
エリトリア、マリ、ナイジェリア、ガンビアなど多岐にわたる。そして、アフリカ大陸やトルコには、
EUへの密入国を斡旋する悪質な組織が跋扈している。
戦乱と貧困と飢餓と抑圧により生きる道を失った人々は、斡旋業者に5,000~8,000ユーロという
大金を払い、ヨーロッパへの移住に命をかける。
皆、EUにさえ行き着けば、仕事があって、どうにか暮らしていけると思っているのだ。
・「助ける方も命がけ、想像を絶するプレッシャー」
イタリア領のランペドゥーサ島は、チュニジアからたったの113キロと近いので、
たいていの難民船はここを目指す。しかし、ランペドゥーサ島に辿り着く前に、
誰にも知られぬまま海の藻屑となってしまう船も多い。
2013年10月、ランペドゥーサ島の近くで船に火がつき、366人もの難民が溺死した事件があった。
その後、イタリア政府はMare Nostrumと名付けた救助活動を立ち上げた。船、飛行機、無人偵察機、
ヘリコプターなどをフルに投入し、イタリア近海だけではなく、アフリカ大陸に近い海域も監視して、
漂流している難民を救うことが目的だった。
しかし、その結果、密航斡旋業者がにわかに勢いづいた。燃料を少し積んで送り出せば、
イタリア軍が救助して、黙っていても無事にイタリアに運んでくれるのだ。それを知った途端、
廃船になった大型貨物船などを調達し、一度に大量の難民を送り出して巨額を稼ぐ犯罪グループまで現れた。
結局、Mare Nostrumは多くの難民を救い、経費が膨れ上がった。しかし、EUの積極的な援助は得られず、
1年後、やむなく中止となった。そして、その代わりに、EUの欧州対外国境管理協力機関(Frontex)が
重い腰を上げて、Triton作戦をスタートさせたのだった。
Tritonは、人命救助よりも、EUの国境防衛が主要な任務だ。だから、守備範囲もイタリアの近海だけで、
経費はMare Nostrumのほぼ3分の1。イタリア軍が助けなければ、難民は次第に減っていくだろうと、
EUは考えたのだった。
しかし、その思惑とは裏腹に、無謀な難民船はまるで減らなかった。
以来、遭難している難民船は、偶然通りかかった商船が救っている状態だ。
商船にとって難民救助は荷が重い。特に漆黒の闇の中では、救出活動は信じられないほど困難な
ものになるという。やっとの思いで引き上げても、一切言葉が通じない。水も毛布もすべてが
足りなくなる。病人やけが人がいると、アフリカにはエイズやエボラといった怖い病気があるので、
船員が怖気づく。「助ける方も命がけ、想像を絶するプレッシャーだった」と、それを体験した
船長は語った。そしてEUはというと、多かれ少なかれ、今までこの問題からはなるべく目を逸らそうとしてきた。
>>2へ続く
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