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★セウォル号事故から1年、日韓関係の溝を見た
多額の補償や法整備にも納得しない遺族たち
2015.4.21(火) アン・ヨンヒ
4月16日がセウォル号の事故からちょうど1年目に当たることは知っていた。
テレビ、新聞、ラジオ、ネットと、韓国のどのチャンネルでもその話題でいっぱいだったからだ。
日本が2011年の東日本大震災をきっかけに「安全」に対する考え方が変わったように、
韓国ではセウォル号事故をきっかけに韓国人の「安全」に関する考え方が変わった。
政府はセウォル号の事故から1周年を迎え、16日にソウルで「第1回国民安全の日、国民安全決議大会」
を開催した。国民安全処が主催したこの行事には、安全処処長と道路交通公団、国防部、
海洋救助隊など1000人あまりが出席した。
だが、国民安全決議大会と言うわりには、会場には一般人は見当たらなかった。通常こうした行事には
ネットで受けつけて一般の人たちを招待するのだが、今回はそんなことは一切なかったという。
また、行事の途中セウォル号に関しての言及はあったものの、実際セウォル号とは無関係に行われた。
この日「セウォル号1周忌行事」と重なったため、政府がわざとこうした行事を画策したのではないかという非難もあった。
・遺族にはもううんざり、という国民も
さて、こうしたことからも分かるように、セウォル号はまだ韓国社会に深い爪跡を残し、
さらには世論を二分化しているとも言える。
セウォル号の遺族に対してはうんざりという考え方もあれば、政府が真相究明をせず、
遺族たちを悪者に仕立てているという考え方の人たちもいる。
数か月前、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)に事故で亡くなったタンウォン高校の
制服を着て蒲鉾を食べる写真をアップし、「友だち食べちゃった」と書き込みをした人たちがいた。
セウォル号事故では行方不明者もたくさんいるので、彼らが海で魚に食べられそれが蒲鉾になり、
それを食べたという悪質な嫌がらせである。
また、遺族たちがデモをしている前で、ピザを食べながら見物するという示威をした団体もいるなど、
明らかに遺族たちを揶揄するグループが存在しているのだ。
1周忌になる直前、セウォル号事故の犠牲者たちの遺族には、国や国民の募金、
保険から補償金が支払われるという報道があった。
亡くなった学生250人は1人当たり平均8億2000万ウォン、教師11人には平均11億4000万ウォンほどの
慰労金が支払われるという。ちなみに犠牲になった一般人には職業別に4億5000万~9億ウォンである。
人が亡くなるのは自然の摂理ではあるが、沈没事故による非業の死は遺族としていたたまれないと思う。
彼らは国のために亡くなったわけではないが、次世代を担う若い学生が多く犠牲になったため、国民も追悼の念が強かった。
・補償金は戦死した兵士の4倍以上
これまで国のために戦って亡くなった人たちへの補償金が1億~2億ウォンしかなかったことを考えると、
補償金の面でも優遇されていると言える。
遺族たちは現在お金や特別法より何より真相究明をしてほしいと願っている。
船が傾き始めているのに、乗客には「じっとしてなさい」と指示した後、自分たちが真っ先に逃げて
しまった船長や船員たちへの怒り。貨物を過積載したり、勝手に増築したりした船主への怒り・・・。
特に、船主は逃亡し不慮の死を遂げることで、罪を償うべき人間がいなくなったことに対しての
怒りもあるだろう。確かに、船長も船員も船主の息子も逮捕され、裁判にかけられているが、
海洋警察はなぜ対応が遅れたのかなどに対する国への不信感があることも否めない。
こうした遺族と政府との関係は、日本との関係に通じるものがある。お互いの意見が平行線をたどり、
関係に溝を作っている構図がよく似ている。 >>2へ続く
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