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★【中韓たじろぐ日本技術】観測衛星『だいち2号』小型軽量化を実現させた“現場力”
2015.4.21 07:00
衰退の危機が叫ばれてきた日本の宇宙産業が反転攻勢に出ようとしている。
政府が1月に今後10年の新宇宙基本計画をまとめ、関連産業の再強化を打ち出すなか、
各メーカーは国内で積み上げた実績を海外での受注拡大にもつなげようと意気込む。
1960年代から人工衛星や大型望遠鏡を開発・製造してきた三菱電機もそうした企業の一つ。
持ち前の高い品質や信頼性で海外メーカーとの競争を勝ち抜き、宇宙産業を新たなお家芸に
するための先兵となる覚悟だ。
神奈川県鎌倉市の三菱電機鎌倉製作所。2年前に30億円をかけて建設された人工衛星の
新生産棟では、来年打ち上げ予定の気象衛星「ひまわり9号」などが組み立てられていた。
新棟は延べ床面積約7800平方メートルの6階建て。1~4階が吹き抜けになっていて、
大型衛星の組み立てにも対応できる。既存の生産棟とは棟続きになっているため、
製造段階ごとにスムーズに移動させ、空いたスペースを有効活用することも可能だ。
これにより、既存棟と合わせた生産能力は年8機に倍増した。
「宇宙空間での運用を想定したあらゆる試験が行える」。塚原克己宇宙システム第一部長が
胸を張る通り、宇宙空間を模擬的に再現できる「真空チャンバー」など、さまざまな試験設備も
備えているのも強みだ。一方で、鎌倉製作所では電子基板への半導体チップの実装や部材の
切削加工といった、「川上」の工程も手がけてきた。
・一貫生産で信頼性
宇宙空間での修理ができない人工衛星は、製造品質が何より重視される。塚原部長は
「部材からの一貫生産であらゆる分野の技術を磨き、品質や信頼性につなげてきた」と強調する。
そんな鎌倉製作所の技術力が遺憾なく発揮されたのが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)
によって昨年5月に打ち上げられた陸域観測技術衛星「だいち2号」だ。
この衛星は、2011年に運用を終えた「だいち」の後継に当たり、三菱電機が本体製造を担当した。
Lバンドと呼ぶ波長の長い電波を使うレーダーアンテナの「PALSAR(パルサー)2」を搭載。
雲や植物を透かして地表のわずかな変化をとらえられ、夜間でも観測できる。
このため、地震などの災害状況把握や森林伐採の監視、資源調査での利用が見込まれている。
三菱電機は、だいち2号の製造に当たって多くの新技術を採用したが、その一つに、小型軽量化技術がある。
パルサー2は、お椀(わん)型のパラボラアンテナではなく、3×10メートルの板状をしている。
そこには1000個もの小型センサーが敷き詰めるようにびっしりと搭載され、それらをまとめて
制御することで、一つのアンテナとして機能させている。アンテナを固定したまま、
電波を飛ばす方向を自在に変えることで、いつでも観測する場所を選ぶことができる。
対象の識別能力を示す分解能は「だいち」の10メートルに対し、3メートルまで向上。
衛星の進行方向だけなら1メートルまで分解できる。視野も広がり、観測範囲は3倍近くに拡大した。
もっとも、高性能化した分、開発や製造は難しくなった。
ロケットで打ち上げる衛星は大きさや重さに制約がある。性能のみを追求し、
小型軽量化を怠れば、1トン近くになり、搭載できなくなってしまう。
パルサー2も、小型軽量化なしには搭載できない。
・半導体を高密度実装
そこで、送受信モジュールなどの基板は半導体チップを高密度で実装し、ぎりぎりまで薄くしてから
アンテナ裏側に搭載。表側に搭載する小型センサーも同じく薄型化した。こうした工夫でパルサー2の
厚さは数センチに抑えられ、5分割して1枚に折り畳めるようになった。全体の重さも500キロに抑えられた。
開発製造を指揮した針生(はりう)健一ALOS-2プロジェクト部長は「携帯電話端末と同じで
いかに薄く、軽くできるかが大事。設計も重要だが、製造技術が物を言う」と説明する。 >>2へ続く
URLリンク(www.sankei.com)
鎌倉製作所で組み立て中のだいち2号。上部に搭載されているのが折りたたまれたパルサー2=神奈川県鎌倉市
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