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★【群馬「正論」懇話会】もう「解釈」では無理、「９条改正」自体が抑止力になる…国柄明記した新たな憲法を 八木秀次・麗澤大教授講演詳報
2015.4.14 06:00
群馬「正論」懇話会の第３７回講演会が３月９日、前橋市で開かれ、麗澤大学教授の八木秀次氏が
「憲法改正 第３次安倍内閣への期待と課題」と題し講演した。憲法とは本来、その国の国柄を示す
ものであることを大日本帝国憲法制定過程などから説き起こした八木氏は、現憲法が「日本＝敵国」
としたポツダム体制下で生まれながら、その後「日本＝同盟国」に変質したサンフランシスコ体制下
においても変わらずにいることが安保法制の根本的矛盾の原因と指摘。日米分断を狙う中国の台頭
など現在の国際情勢では解釈変更で乗り切るのは不可能とし、抑止力としても改憲の必要性を訴えた。
詳報は以下のとおり。
■憲法とは何か
まずは、憲法とは、そもそも何なのかというところから始めたい。
日本は幕末に欧米と不平等条約を結んだ。維新後の明治政府にとっては、その不平等条約をいかに
改正していくかが最大の課題だった。不平等条約の１つ、治外法権を撤廃するには近代的な法制度
を整える必要があり、明治政府は民法や商法から着手し、その最終地点に憲法の制定があった。
憲法の制定は明治９年の「国憲起草の勅語」にさかのぼる。
当時は憲法という言葉は、まだそれほど使われておらず、国憲とか国律といっていた。
この勅語の中で「我が建国の体に基づき広く海外の成法を斟酌（しんしゃく）し以て国憲を定めんとす」
と示された。重要なのは、この「建国の体」。日本という国が建国以来どういう国なのかということを
基本としながら、広く海外の憲法、法律を参考にして憲法を定めていこうという意味だ。
つまり、憲法とは何より、その国の「国柄」を示すものだ。
最近、「憲法とは国家権力を縛るもので、国民を縛るものではない」という指摘が一部の憲法学者など
からあるが、それは間違っている。今の憲法には国民を縛るものとして国民の義務も規定されているではないか。
（中略）
■現憲法が抱える根本的矛盾
次に日本国憲法に移りたい。日本国憲法とは何かを一言でいえば、それは「ポツダム体制の所産」だ。
ポツダム体制は連合国が中心になってつくった戦後の国際秩序で、そこでは日本は連合国にとっての
共通の敵である。そうしたポツダム体制の中で日本の占領政策は行われ、日本国憲法がつくられた。
日本国憲法制定の過程で中心的役割を担ったチャールズ・ケーディスは後に、「憲法制定の最大の
目的は日本を永久に非武装のままにしておくこと」と語った。
それを象徴的に示すのが第９条だ。９条の１項は侵略戦争の否定。これはパリ不戦条約の内容
を取ったもので、問題ではない。
問題なのは第２項だ。これは戦力の不保持と交戦権の否認。交戦権についてケーディスは
「日本側がこの部分を削除してくれといえば、削除するつもりだった」といったほどで、
非武装のままにするという目的が、ここによく表れている。
しかし、東西冷戦が始まり、ポツダム体制が壊れた。アメリカは日本を再軍備させる方針に転換し、
日本を自由主義陣営に組み込んだ「サンフランシスコ体制」下で日本の安全保障体制が固まった。
そこにおいて日本はアメリカの同盟国に変わった。
つまり、「日本がアメリカの敵」だったポツダム体制下でつくられた憲法と、「日本がアメリカの同盟国」
となったサンフランシスコ体制下でつくられた安全保障は根本的な矛盾を抱えているということだ。
■激変する安全保障環境、解釈改憲の限界
そうした矛盾を解消しようと、自民党は憲法改正の努力を続けてきたが、憲法改正のハードルは世界で
一番高く、歴代政権は憲法改正ではなく解釈の変更で対応してきた。しかし、現在の日本を取り巻く
環境は大きく変わり、アメリカのプレゼンスの低下、中国の軍事的脅威の増大といった状況下で、
解釈の変更では対応できなくなってきた。
今年は戦後７０年、中国にとっては抗日戦争勝利７０年となる重要な年だ。そこで中国共産党は
自らの正統性を強調するためにも、「日本は悪いことをした」と言い続け、歴史認識を使った
対日批判「歴史戦」を強めていっている。 >>2へ続く
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