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★アジア投資銀 「日米孤立」の批判は的外れだ
2015年04月03日 01時36分
世界第2の経済大国・中国が主導する「アジアインフラ投資銀行(AIIB)」に、
約50か国が参加を表明した。
日米両国が慎重姿勢を示したにもかかわらず、先進7か国(G7)の英独仏伊4か国や、
米国の同盟国である韓国、オーストラリアも名を連ねた。
AIIBに参加すれば、大規模な需要が見込まれるアジアのインフラ(社会資本)市場への
参入機会が拡大する。日米に対する外交的な配慮より、経済的実利への期待を優先したのだろう。
背景には、米国の指導力の低下があるとの見方も強い。
参加国が増えたからといって、中国がAIIBの運営で圧倒的な支配力を握り、
自国の国益に沿った事業に利用する懸念が消えたわけではない。
中国の習近平国家主席は、中国と欧州をつなぐ「海陸のシルクロード」沿いに、
中国主導の大経済圏を作る考えを示している。その主要資金源として、AIIBの出融資が想定されている。
成長減速で過剰になった中国国内の物資と労働力を、アジアのインフラ投資に
振り向ける狙いだろう。通貨・人民元の国際化につなげる思惑もうかがえる。
外交や安全保障上の不安も大きい。開発支援先への影響力を強める意図はないか。
海洋進出を急ぐ中国海軍の寄港地を拡大するための港湾整備に、AIIBが融資する可能性も否定できない。
中国財務相は「西側のルールが最善とは限らない」と述べた。
環境や人権を重視する世界銀行やアジア開発銀行(ADB)とは違う運営になるとすれば問題だ。
日米両国は、中国に対し、融資や審査の考え方を示すよう求めたが、
明確な回答は得られておらず、不透明なガバナンス(統治)への不安は払拭できていない。
一部に「外交の失敗で日米が孤立した」といった批判も出ているが、国際金融秩序に
責任を持つ日米が現時点で参加を見送ったのは、適切な判断である。
東シナ海などで中国が一方的な現状変更を図る中、日米同盟を強化する必要性は増している。
米国との共同歩調を堅持したい。
AIIBは、6月中に運営体制を定め、年内の発足を目指す。
ルー米財務長官が訪中し、ADBなど既存の国際金融機関とAIIBの連携を呼びかけた。
日米両国が関係国と協調し、AIIBが透明性を保ち、国際ルールに沿った行動を取るよう
促す努力を続けることが重要だ。
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