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★中国のサラミ・スライス戦略、キャベツ戦術の脅威
チッポケな岩礁を次々と手中に、米国はいつまで傍観するのか
2015.4.2(木) 北村 淳
アメリカ連邦議会上院のジョン・マケイン(軍事委員会、共和党)、ジャック・リード
(軍事委員会、民主党)、ボブ・コーカー(外交委員会、共和党)、ボブ・メンデネス
(外交委員会、民主党)の4名の上院議員は、超党派書簡をアッシュ・カーター国防長官と
ジョン・ケリー国務長官に送りつけた。
「このまま中国の行動を見逃していると、アジアの同盟諸国の安全保障や、石油をはじめ
とする年額5兆ドルに上る物資の自由航行、それに南シナ海周辺諸国の間の平和的が交渉は
危殆に瀕してしまう。・・・アメリカがダラダラしている間に、中国はいくつかの人工島
まで建設してしまっている。アメリカはこのような中国の埋め立て作業を押しとどめる
ための具体的行動をとらなければならない」
実際に中国は海洋戦力を背景に、南シナ海に対する“積極的”海洋政策に打って出ている。
だがアメリカはそれに対しておざなりな外交的警告を発してはいるものの、具体的かつ
効果的な反対行動はとっていない。オバマ政権は中国の拡張主義的海洋政策に対して
何らの戦略も打ち立てていないのが現状だ。
このような状況は、まさに中国共産党政府が過去20年近くにわたって実施してきた
南シナ海を手中に収めるための“サラミ・スライス戦略”が目論見通りに功を
奏してきたことを意味している。
そして、中国海洋戦力のますますの充実とアメリカ極東戦力の相対的低下を追い風にして、
中国は人工島建設戦術や“キャベツ戦術”を使用し始めて、サラミ・スライス戦略の完成を加速させている。
URLリンク(jbpress.ismedia.jp)
・小さな攻撃を小出しにしていく「サラミ・スライス戦略」
サラミ・スライス戦略とは敵側の大反撃を招かないような“小さな部分”に対する攻撃を
小出しに積み重ねることにより、徐々に敵側の抵抗努力が功を奏さないような状況に持ち込んで、
最終的には敵側を封圧したり征服したりしてしまう、という流れの方針を意味する。
もともとは1940年代にハンガリー共産党が政敵を殲滅するために用いた戦術に名付けられた
のが起源とされている。このような比較的スケールの小さな“戦術”レベルのみならず、
現在中国が南シナ海“征服”のために用いている“戦略”レベルの方針にも用いられている
(したがってサラミ戦術と呼ばれたりサラミ・スライス戦略と呼ばれたりしている)。
中国が南シナ海の大半を“征服”するにあたって、最大の障害として立ちはだかるのが
アメリカである。世界中の海洋における公海自由航行原則の維持を最高の国是の1つに
掲げ続けてきた海洋国家アメリカにとって、南シナ海のほぼ全域が“中国の海”と
なることは絶対に看過できない(であろうと中国側は考えた)。したがって、中国としては、
極力アメリカの干渉を避けるような手段によって南シナ海を手中に収めていかねばならないのである。
そこで中国共産党政府が用いているのがサラミ・スライス戦略である。
すなわち、アメリカの一般世論、すなわち連邦議会の主流、が大きな関心を示さないような
“取るに足らないチッポケな島嶼や環礁”に対する実効支配を少しずつ拡大していくのだ。
・南シナ海でのサラミ・スライス戦略の進展
まず手始めに1988年3月には、南シナ海南沙諸島のジョンソンサウス礁をめぐってベトナム海軍
との間に軍事衝突を引き起こした。中国は、ベトナム戦争の苦い経験が身にしみているアメリカが、
ベトナム救援のために介入する恐れはないと踏んだ。その目論見は的中し、アメリカから遠く
離れた南シナ海に浮かぶ“チッポケな環礁”での中国海軍とベトナム海軍の戦闘に、
アメリカが口出しすることはなかった。
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