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★【熱血弁護士 堀内恭彦の一筆両断】「少年法」年齢引き下げ フィクションからの転換を
2015.4.2 06:00
川崎市の18歳少年らによる中学1年生リンチ殺人、名古屋市の19歳女子大生による
老女殺害など、未成年者による凄惨な事件が相次いでいます。動機も「イラッとした」
「人を殺してみたかった」など、到底、理解不能なものです。
未成年者が罪を犯しても、「少年法」によって刑罰が軽くなるように配慮されており、
少年の保護と立ち直りに主眼を置いた処遇がなされます。
しかし、これまでも未成年者による凶悪事件が頻発するたびに、少年法は厳罰化の方向で
改正されてきました。また、折しも、選挙権を現状の「20歳以上」から「18歳以上」
に引き下げる公職選挙法の改正が議論されており、少年法における「少年」の定義も
「18歳未満」に引き下げるべきだ、という声が大きくなっています。
実際、各種の世論調査でも、少年法の適用年齢引き下げについては、「賛成」が約8割で、
「反対」を大きく上回っています。
これに対して、日本弁護士連合会やその他の人権団体は、「たとえ他の法律で『18歳以上は成人』
と扱うようになったとしても、少年法は現在のまま『20歳未満』とすべきである」と猛烈に反対しています。
理由は、「少年事件のうち18歳、19歳の少年が被疑者となる事件は約4割を占めており、
18、19歳はまだ精神的・社会的に未成熟で、対象年齢を18歳未満に引き下げれば、
少年の立ち直りや成長支援の機会を奪い、再犯防止を阻害してしまう」ということです。
しかし、「18、19歳が精神的・社会的に未成熟」かどうかは大いに議論の余地があるでしょう。
少年法は、少年の「可塑(かそ)性」を重視しています。可塑性とは、成長によって人格が
柔軟に変化していくことであり、悪く言えば周囲に影響されやすい、良く言えば立ち直りが
期待でき更生の余地が大きい、ということです。私も少年法の理念は大切だと思いますし、
少年に可塑性があることも否定しません。実際に少年事件を担当して、立派に立ち直った
子供を何人も見てきました。
しかし、事の本質は、「可塑性」の法律上の線引きを何歳までにするのが妥当なのか?
ということです。「成人」年齢をどうするかは、最終的には、その国の文化や歴史、
国民の価値観によって決まるものです。昔の成人(元服)は15歳でしたが、
そこまで行かなくとも、今の日本では、高校卒業時の年齢であればもう立派な大人でしょう。
前述の世論調査の結果も、まっとうな国民感覚に合致していると思います。
少年法の厳罰化や年齢引き下げに反対する人は、「厳罰化や年齢引き下げによって
少年犯罪が減るという証明はない。フィクションだ!」と批判します。しかし、「18歳、19歳には
可塑性があり、20歳を超えると可塑性がない」ということも、結局はフィクションではないでしょうか。
むしろ、いつまでも子供扱いし、モラトリアム(猶予期間)を与えるのではなく、
「18歳以上は立派な大人。自らの行動に責任が伴うことを自覚せよ」と、しっかりと家庭教育、
道徳教育を充実させ、社会全体で「18歳以上は大人である」という共通認識を広める方向に
転換すべき時期に来ています。そして、「子供は大人の鏡」です。子供だけが凶悪化することは
あり得ません。成人年齢を引き下げる、ということは、我々大人にも、その自覚と責任が問われているのです。
【プロフィル】ほりうち・やすひこ 昭和40年、福岡市生まれ。福岡県立修猷館高校、
九州大学法学部卒。弁護士法人堀内恭彦法律事務所代表。企業法務を中心に民事介入暴力対策、
不当要求対策、企業防衛に詳しい。九州弁護士会連合会民事介入暴力対策委員会委員長などを歴任。
日本の伝統と文化を守る「創の会」世話人。趣味はラグビー、ゴルフ。
URLリンク(www.sankei.com)