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★「日中間の判決、相互保証なし」東京地裁、強制執行認めず
2015.3.21 06:00
中国の裁判所に当たる人民法院が損害賠償を命じた判決に基づき、日本国内でその賠償金
について財産差し押さえなどの強制執行が認められるかどうかが争われた訴訟の判決で、
東京地裁(岡崎克彦裁判長)は20日、「中国で日本の裁判所の同種判決が承認、
執行される余地はなく、日本と中国の間には相互の保証があるとは認められない」
として、原告側の訴えを棄却した。
民事訴訟法は、外国裁判所の判決が命じた損害賠償などを日本国内で執行する要件として、
相手国においても同様の条件下で日本の裁判所の判決の効力が認められる「相互保証」
を求めている。今後、同種事案に一定の影響を与えそうだ。
地裁判決によると、今回の訴訟の原告で人民法院に訴えを起こしていたのは中国籍で
中国在住の夏淑琴さん。夏さんは書籍『「南京虐殺」への大疑問』の記述で名誉を
傷つけられたなどとして、著者の松村俊夫さんと出版した展転社に対し、
80万元(約1500万円)の賠償などを求めた。
松村さんらは人民法院での裁判に出席せず、人民法院は2006年8月、
請求通り80万元の賠償などを松村さんらに命じた。夏さんはこの判決に基づき、
東京地裁に強制執行を求めた。
岡崎裁判長は、日本人原告が日中合弁企業を相手取った過去の同種裁判で、
最高人民法院が「日本との間に互恵関係は存在しない」として原告の訴えを退ける
との見解を示したと指摘。「下級の人民法院はそれに従って判断すると認められる」として、
「相互保証」が日中間に存在しないと結論づけた。
URLリンク(www.sankei.com)
参考過去記事
★強制執行を求め中国から提訴―危機感を募らせる展転社
2012 年 12 月 10 日 5:52 PM
日中戦争中の一九三七年一二月、当時八歳の夏淑琴さんの一家は南京城内の自宅で日本軍に襲われ、
家族九人のうち七人が殺害された。夏さんは戦後、自身の体験を証言し続けたが、松村俊夫著
『「南京虐殺」への大疑問』((株)展転社)の中で“ニセ被害者”扱いされた。
夏さんは中国の裁判所に松村氏と展転社を提訴。二〇〇七年に被告らに約一〇〇〇万円の賠償を
命じる判決が確定した。しかし被告らが応じないため、強制執行を求め東京地裁に提訴した。
日中間には、外国判決を執行する取り決めはない。しかし、原告側の渡辺春己弁護士は筆者に対し、
「名誉毀損の法制度は両国でほとんど共通している。今回のケースは著しい人権侵害であり、
強制執行は認められるべきだ」と語った。
原告側は中央大学法科大学院の奥田安弘教授(国際私法など)の意見書を提出済み。
一一月九日には第二回口頭弁論が行なわれた。
同じ展転社から出版された東中野修道・亜細亜大学教授の書籍でも、夏さんは“ニセ被害者”
扱いされたが、日本の司法は夏さんの被害証言を認定し、夏さんの勝訴は確定した。
「南京裁判」展転社を支援する会が主催する「報告決起集会」が、東京都文京区で一一月一四日
に行なわれた。夏さんの新たな訴訟を受けてのものだ。屋内会場には「日中国交断絶」
「打倒中国共産党」「暴支膺懲」と書かれたのぼりが林立した。参加者は二五〇人前後。
集会で被告側の荒木田修弁護士は、国際私法専攻の東京大学教授に相談したところ
「執行判決が出る」と言われたことを明かし、危機感を募らせた。展転社の藤本隆之
代表取締役は「こんなことを許していいわけがない!」と語った。
集会では中国人への罵詈雑言が飛び交ったが、歴史の事実と真摯に向き合うことが大切だ。
次回口頭弁論は、一二月二一日の一四時三〇分から一〇三号法廷で。(星徹・ルポライター、11月23日号)
URLリンク(www.kinyobi.co.jp)