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★【世界へ 日本テクノロジー】始動するF3計画(上)国産ステルス戦闘機開発へ
2015.3.17 06:45
■15トンエンジン製造にめど
政府は航空自衛隊の戦闘機「F2」の後継機となるステルス戦闘機「F3」(仮称)を
開発する方針を固めた。ステルス機用の強力なエンジン(推力15トン)の開発にめどがつき、
国内技術だけで高性能戦闘機を製造できる見通しが立った。2015年度からエンジン開発を
本格化するのと並行し、今夏から実験機による飛行試験を始める。米国との共同開発も視野に
入れるものの、戦後70年の歴史で初めて世界有数の性能を持つ純国産戦闘機が誕生する
可能性が出てきた。F3開発は数兆円規模を要する巨大事業となり、安全保障だけでなく経済、
外交などさまざまな分野に影響が広がりそうだ。
F3に搭載するステルス戦闘機用の「ハイパワースリムエンジン(HSE)」は
「先進技術実証機(ATD)」と呼ばれる試験機に搭載された推力5トン級の
「実証エンジン(XF5)」の技術を生かしながら、IHIと防衛省技術研究本部が開発する。
15年度予算の事業として心臓部の圧縮機や燃焼機、高圧タービンの試作に着手し、
18年度をめどに試作エンジンを仕上げる計画だ。
世界的に見ても、15トン級の戦闘機用エンジンを作る技術を持っているのは
米プラット・アンド・ホイットニー(P&W)やゼネラル・エレクトリック(GE)、
英ロールス・ロイス(RR)など数えるほどしかない。
日本が戦闘機用のジェットエンジンを開発するのは初めて。これまでは純国産戦闘機を
開発しようにも、米国からエンジンの供給がないと実現できないというジレンマがあった。
1980年代に純国産の「次期支援戦闘機(FSX、後のF2)」を目指す動きがあったものの、
最終的に米国との共同開発になった理由の一つもここにある。HSEの実現により初の
純国産ジェット戦闘機の開発が視野に入る。
一方、ATDは今夏にも飛行試験を始める。F3に搭載するステルス技術やエンジン噴射の
角度をコンピューターで制御して直進時にも機体の向きを自由に変えられる「高運動性能」
などの実験を、2016年度まで約1年半にわたって実施。集めたデータを基に、
18年度までにF3の具体的な開発計画を決める。スケジュール通りに開発を終えれば
28年以降に順次、部隊に配備する計画だ。
・歴史的転換点に
「歴史的に大きな転換点になるだろう。日本にはステルス関連で、機体の構造や材料、
エンジン回りの優れた技術がある」
左藤章防衛副大臣はフジサンケイビジネスアイのインタビューで、F3への期待をこう語った。
先の大戦の中盤にかけ、日本は連合国の戦闘機を圧倒した「零(れい)式艦上戦闘機(零戦)」
を開発するなど有数の航空機大国だった。しかし、戦後、GHQ(連合国軍総司令部)は
軍需産業だけでなく、航空機産業も解体し、日本の航空機開発技術は世界に大きく立ち遅れた。
日本にはF2(米国との共同開発機)と「F1」(退役済み)の開発実績はあるものの、
「支援戦闘機(戦闘攻撃機)」として開発され、後に「戦闘機」に区分変更されたこの2機種の
当初の主要任務は、侵攻してくる敵艦艇の迎撃。F2の一部部隊は外国機への緊急発進
(スクランブル)任務にも対応しているが、戦闘機同士の戦闘能力はF2開発前から配備
されている米国生まれの主力戦闘機、F15Jには遠く及ばない。
これに対し、F3は対空戦闘で他国の最新鋭戦闘機を凌駕(りょうが)する性能を目指している。
戦闘機は一国の航空機技術力の象徴といわれる。戦後70年を経て初めて視野に入った一線級の
国産戦闘機は日本の航空機産業の復権にもつながる、まさに「歴史的転換点」になる可能性を秘めている。
>>2へ続く
URLリンク(www.sankeibiz.jp)
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