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★中国軍の脅威、目の前の危機と受け止めているのは日本よりも米国 ワシントンの討論会で日米の認識ギャップが浮き彫りに
2015.03.11(水) 古森 義久
中国の軍拡による直接的な脅威は、どう見ても米国よりも日本にとってのほうが深刻なはずだ。
地理的な距離を見ても、尖閣諸島奪取に意気込む様子を見ても、激しい反日言動を見ても、
中国の軍事力の増強は日本を威圧している。
だが日米両国の受け止め方を比べてみると、日本よりも米国側の方が、中国の軍拡を脅威と
受け止める度合いがずっと高いのである。ワシントンのある討論会でそのことが印象づけられた。
日本側の中国の軍拡への認識は鈍いと言わざるを得ないのだ。
・いまに始まった話ではない中国軍の日本本土攻撃能力
この日米ギャップが露呈したのは、2月27日、ワシントンのリベラル系の大手研究機関
「ブルッキングス研究所」が開催したシンポジウム「中国の安全保障・外交政策=日米の見解比較」
においてであった。その主な内容はタイトルどおり、日本と米国が、中国の安保がらみの動向を
それぞれどう見ているかについての比較だった。
シンポジウムでは米国側から5人、日本側から4人の民間の専門家や研究者たちが中国の対外戦略を
論じた。焦点となったのは、中国の軍事力増強が日本にとってどんな意味を持つか、である。
ブルッキングス研究所は、どちらかと言うと中国に融和的な民主党系のリベラル志向の組織である。
そんな組織が主催する討論会であるにもかかわらず、米国側の代表者たちの中国の軍拡への見方は
極めて厳しいものだった。それに対し、日本側の反応はまったく鋭さが欠けていた。
米国側の専門家は、日本側の専門家よりも、日本への脅威に対してより深刻で重大な懸念を示していた。
だが日本側は脅威としての認識が低いことに加えて、中国の軍拡への対応策をなにも示さなかった。
シンポジウムでは、まず日本側が「中国人民解放軍は日本の本土への攻撃で、どの程度の能力を有しているのか、
どの程度の脅威なのか」との問いを設定した。この設問を巡るやり取りが日米ギャップを明快に印象づけるものだった。
答えたのは、米国防総省の中国軍事担当の部署を歴任し、現在は「海軍分析センター」中国研究部長の
デービッド・フィンケルスタイン氏である。フィンケルスタイン氏の発言は次のようなものだった。
「中国軍の日本本土攻撃能力はもうずっと以前から存在しているのに、いま、その能力の有無を初めて
議論するような態度には当惑する」
中国人民解放軍が陸、海、空の各軍、そして宇宙から、核兵器、サイバー攻撃、各種ミサイルなどまで、
多方面で大規模な軍事能力の増強を進めていることは、確かにすでに広く知られている。
さらに同氏はその後の発言で、中国軍の中距離ミサイル多数が長年、日本本土を攻撃範囲に収めてきたこと、
ずっと「日本本土への脅威」が存在してきたことも強調し、日本側の認識との差を見せつけた。
・中国の軍拡、元々の仮想敵は米国や台湾
日米のギャップはそれだけではなかった。
日本外務省出身の辰巳由紀氏が発言したときである。辰巳氏は、米国スティムソン・センターの主任研究員として、
日米関係やアジアの安全保障問題を研究している。同氏は「日中のミラーイメージ(左右対称)」という表現で、
中国側の軍拡は日本の動向に反応した結果ではないか、という見解を述べた。日本側が中国に対し融和や自制の
姿勢を見せれば、中国は軍拡を緩めるのでは、という示唆が背後にある言明だった。
ところがフィンケルスタイン氏はこれに対しても「中国軍の近代化は日本の動向とは直接なんの関係もない」
と述べ、日本側の見解を排したのだった。
同氏は、中国が江沢民主席の下、1993年頃から米国や台湾を主な対象として大規模な軍拡を始めた経緯を詳述した。
日本の防衛態勢や対中政策にかかわらず、中国は20年以上前から国策として軍事力の大増強を決めていたというのである。
だが、米国や台湾を対象とした軍拡であっても、その一端は明らかに日本への威圧となっている。
尖閣諸島に対しては海軍力、空軍力を基盤にした侵入を続けているのだ。 >>2へ続く
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