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マーク・リッパート駐韓米大使(42)襲撃事件をめぐり、米国が韓国への疑念を深め、
極秘調査に着手した。外交上の社交辞令もあり、「米韓同盟は強固だ」(米国務省報道官)と
コメントしているが、反米機運が盛り上がっていた中での、警備上の大失態は看過できず、
「事件の闇」を感じているのだ。「自分だけでなく米国への攻撃だ」と批判する大使と、
朴槿恵(パク・クネ)大統領率いる隣国の苦境。ジャーナリストの加賀孝英氏が迫った。
「事件当日、会場周辺では警官や機動隊員ら約30人が警備に当たっていた。
その中でテロ事件が起きた。韓国の警備態勢はデタラメだ。治安が崩壊している。
でなければ何かを隠している」
旧知の公安当局幹部はあきれ顔で、そう吐き捨てた。
ご承知のように、ソウルで5日に発生した駐韓米大使襲撃事件に、米国が激怒している。
犯人の金基宗(キム・ギジョン)容疑者(54)が、リッパート大使にナイフで負わせた傷は
「右の頬骨からあごにかけて長さ11センチ、深さ3センチ」。一歩間違えれば、頸(けい)動脈
切断で死亡していた。先進国ではあり得ないテロだ。大使が「米国への攻撃だ」と8日、
与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表に語ったのも当然だ。
韓国政府は事件直後から、金容疑者について、(1)7回もの訪朝歴があった(2)北朝鮮の金正日
(キム・ジョンイル)総書記が死亡した際、ソウルに焼香所を設置しようとしていた-などの情報を公表。
警察当局は「親北活動家のテロ」と断定し、「北朝鮮の関与」を強調して捜査を開始した。
一方、韓国内では「米韓同盟」を強調する報道があふれている。
中央日報(日本語版、7日)は、リッパート大使が事件後、ツイッターで「(米韓が)一緒に行きましょう」
とメッセージを送り、韓国国民から「頑張ってください」などという激励が急増したことを取り上げ、
米韓同盟がかえって好転したと報じた。記事のタイトルは「『リッパート効果』テロに勝つ」だった。
信じられない「浮かれよう」ではないか。
だが、驚かないでいただきたい。外交上の社交辞令はともかく、米国は韓国を許してはいない。
むしろ重大な疑念を抱いている。米国務省のハーフ副報道官も6日、「米国は韓国側の警備態勢を問題視し、
調査する」と明言していた。
そもそも事件直前、米韓関係は微妙だった。シャーマン米国務次官が先月末、「政治指導者が過去の敵を
非難することで、安っぽい喝采を浴びるのは難しいことではないが、このような挑発は機能停止をもたらす」
と講演。韓国内では「発言は日本寄りだ。許せない」などと、反米感情が爆発寸前だったのだ。
以下、複数の米政府、米情報当局関係者から得た情報だ。とくとお読みいただきたい。
「リッパート大使など、韓国在住の米国人に危険が迫っていたことは韓国側も理解していたはずだ。
それなのに、犯行現場の会場内はなぜか、厳重な警備態勢がとられていなかった。こんな不備はあり得ない」
「金容疑者は親北朝鮮活動家で、駐韓日本大使にコンクリート片を投げて逮捕された危険人物だ。
韓国情報当局も監視下に置いていたはず。なぜナイフを持って簡単に会場に入り、なぜ大使を襲いやすい
席に座れたのか。こんな偶然が重なることは100%ない」
そして、米情報当局関係者はこういう。
「あり得る答えは2つだ。1つは韓国の警備関係者に『北朝鮮シンパ』が潜入していた可能性。
もう1つは、金容疑者が米国大使に接近すれば事件が起きると認識しながら、彼の会場入りを放置した
『北朝鮮とは関係ない人物』の存在だ。いずれにしても、必ずケジメをつけさせる」
現時点で、金容疑者は「単独犯行だ」としか供述していない。日本の警備当局関係者がいう。
「もし、日本(東京)で同様の事件が起きたら、警視総監と警視庁警備部長、警察庁警備局長は更迭
されるだろう。警察庁長官の進退も危ない。当然、国をあげて謝罪し、捜査に当たる。ところが、
韓国は朴大統領が『胸が痛い』『私も似たような経験した』とリッパート大使に語るなど、
どこか人ごとだ。本当に厳正・厳密な捜査ができるのか疑問だ」
これだけは言わせていただく。万が一、今回の事件を「親北活動家が悪い」「北朝鮮が悪い」で終結させるなら、
米国をはじめ、先進諸国は今後、韓国をまともな国家として相手にはしない。
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