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★世界が注目する「安倍談話」めぐる動きが活発に。独メルケル首相は講演場所に朝日新聞を選び、「クギを刺す」
2015年03月07日(土) 歳川 隆雄
・「安倍談話」へ、独米はじめ世界が関心
週明けの3月9日、ドイツのメルケル首相が来日する。安倍晋三首相との顔合わせは、
昨年6月のベルギーの首都ブリュッセルで開催された主要7カ国首脳会議(G7サミット)以来である。
首相官邸側が今、注視しているのはメルケル首相が東京滞在中に朝日新聞社(浜離宮ホール)で
行う講演の中身である。ドイツ側がマスコミ各社からの講演要請の中で『朝日新聞』を選択したのは、
所謂「歴史認識問題」での同紙の報道内容を吟味した上でのことだけに、メルケル首相講演で
安倍首相に“クギを刺す”意図があると見られているのだ。
改めて指摘するまでもなく、戦後70年の節目に当たる8月15日に発表される「安倍談話」の中身
に関心が集まっている。2月19日、安倍首相が発表する戦後70年談話について検討する有識者会議
「21世紀構想懇談会」のメンバー16人が明らかになった。
座長に西室泰三日本郵政社長、座長代理に北岡伸一国際大学長を始め、中西輝政京都大学名誉教授、
山内昌之明治大学特任教授、西原正平和・安全保障研究所理事長、宮家邦彦立命館大学客員教授ら
安全保障政策の専門家が過半を占める。だが、メンバーには原発再稼働反対の論陣を張る山田孝男
毎日新聞特別編集委員のような「左系の人物」(官邸幹部)もいるが、その殆どが保守系である。
世界がいま「安倍談話」に注目しているだけに、官邸サイドもその対応策の準備に忙殺されている。
2月12日に就任後初めて来日したトニー・ブリンケン米国務副長官に続いて、
今月中にはジョン・ケリー米国務長官の日本訪問も確定している。それだけではない。
・「安倍談話」本番へ「ウォーミングアップ講演」は続く・・・
3月14~18日に仙台市で第3回国連防災会議が開催される。同会議には、100ヵ国を超える首脳・閣僚級が
参加するが、注目されるのが国連の潘基文事務総長である。実は、同会議に合わせて東京・青山の
国連大学でシンポジウムも開かれるのだが、そこで安倍首相と潘事務総長が基調講演を行うのだ。
さらに4月22~23日にはインドネシアの首都ジャカルタでアジア・アフリカ首脳会議(バンドン会議)が
開催されるが、安倍首相は同会議でもスピーチが予定されている。そして今年前半の締めくくりとして
位置付けられているのが大型連休期間中の安倍首相訪米と、ワシントンでの安倍演説(講演)である。
現時点で官邸サイドは米議会での54年ぶりの首相演説を要請しているが、それが叶わない場合は
戦略国際問題研究所(CSIS)などシンクタンクでの講演も想定している。
今後の国連大学講演、バンドン会議スピーチ、米議会演説(米シンクタンク講演)を
ウォーミングアップとして、本番の「安倍談話」を迎えるという絵図を描いているのだ。
もちろん、安倍官邸が意図するのは、「戦後70年談話」の内容に中国や韓国だけでなく欧米、
アジア諸国が強い関心を抱いているだけに、安倍首相の各発言に対する反応を精査した上で、
8月発表の前にその内容を詰めたいということである。
日中韓の外相会談は3月下旬に予定されているが、安倍首相が議長国の韓国で朴槿恵大統領、
李克強中国首相と3ヵ国首脳会議に臨めるのは「70年談話」以降にずれ込むのではないか。
3月5日に発生したマーク・リッパート駐韓米大使襲撃事件を見るまでもなく米韓関係は悪化しており、
米中関係にも小波が立っている現在、たとえオバマ米政権が日中、日韓関係の早期修復を強く
求めているにしても、日中韓首脳会議実現までの道程は長くて険しい。
ところで、前回コラムで安倍首相が密かに「山縣有朋研究」を行っていると書いたが、
少なからぬ反響があった。事実である。明治の元勲・山縣有朋だけでなく、実は高橋是清についても
研究しているのだ。元老政治を目指す安倍首相は、財政再建論議が本格化する前に成長と増税、
歳出改革の3つを推し進めるための参考にするというのである。安倍首相の手駒は外交・安保
だけではないのだ。
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