15/03/06 14:13:17.48
★日本に報道の自由はあるのか? おそらく、ない。しかし特定秘密保護法のせいでも安倍政権のせいでも、ない
2015年03月06日(金) 長谷川 幸洋
国際的なジャーナリスト組織である「国境なき記者団」が2月に発表した2015年版の
世界報道自由度ランキングで日本が61位に後退した(URLリンク(index.rsf.org))。
日本の報道自由度はいまや先進国で最低水準という。これをどうみるか。
・「おい、おい大丈夫か」日本のジャーナリストは
国境なき記者団は1985年にパリで設立されたNGOだ。言論や報道の自由を守るために、
世界のジャーナリストを支援している。活動の一環として02年からメディアの独立性や
政府の規制などを数値化して、各国の報道自由度ランキングを作って公開している。
日本は当初、26位からスタートした。民主党政権時代の2010年に11位まで順位を上げたが、
その後は年々、下げた。東日本大震災と福島原発事故があった後の2012年、一連の情報隠しが
批判された影響もあって、一挙に53位まで順位を落とした。それ以降、韓国よりも下位に甘んじている。
日本に関することしの講評を見ると、特定秘密保護法の影響が大きいようだ
(URLリンク(en.rsf.org))。
その中で「国境なき記者団は日本政府が憲法に違反し、報道の自由に制限を加えた国家機密に
関する厳しい法律を成立させたことを憂慮する」と表明している。
国境なき記者団がこうした評価を下した背景には、日本人ジャーナリストたちが起こした
特定秘密保護法の廃止を求める訴訟がある。講評に添付されているジャーナリストたちの
声明をみると、彼らはかなり極端なグループであるようだ。
特定秘密保護法を「憲法違反」と断じているだけでなく、安倍晋三政権について「日本を取り戻せ」
というスローガンと集団的自衛権の下で「特定秘密保護法が戦争をできる体制を作るための鍵になる」
と述べている。これは意見の表明だからまだいいとしても、驚いたのはこの次だ。
安倍政権が「かつてのドイツ・ナチ体制下における授権法のように、安倍政権が憲法の枠の外で
独裁体制を築く可能性さえある」とまで述べている。こうなると「おい、おい大丈夫か」と言いたくなる。
・つまらぬ三文芝居
特定秘密保護法をめぐってマスコミが大騒ぎしていたころ、一部に「戦争をするための独裁体制への一歩」
といったような極端な声があったのはたしかだ。だが、いまではすっかり熱が冷めてしまった。
国会でも特定秘密保護法をめぐる議論は引き潮のように消えてしまった。
代わりに民主党は国会で安倍政権を「政治とカネ」問題で追及したが、それもブーメランのように
岡田克也代表に火の粉が飛んできたら、あっという間に手打ちになりつつある。まったくばかばかしい。
つまらぬ三文芝居を見せられたかのようだ。
それはともかく、報道自由度ランキングで日本が順位を下げたという話には、裏に安倍政権を
ナチ体制になぞらえるような極端論があった、という事情は理解しておくべきだ。
私自身が特定秘密保護法をどう考えるかといえば、13年11月29日公開コラム
(URLリンク(gendai.ismedia.jp))で書いたように、法不在の下、官僚が国民に
見えないところで何を秘密にするか裁量で決めているより、法律できちんと法定したほうがいいと思う。
問題があれば法改正すれば修正できるが、官僚が水面下ですべてを決めていたら、
国民はまったく知る由もなくお手上げ状態になってしまう。
・特定秘密保護法など関係ない!
さて、ここからが本論だ。日本に報道、言論の自由はあるか。私は国境なき記者団とはまった
く別の理由で、きわめて怪しいと思っている。それは特定秘密保護法などとは全然、関係ない。
肝心の記者たちが独立したジャーナリストというより、単なる「大企業のサラリーマン」であるからだ。 >>2へ続く
URLリンク(gendai.ismedia.jp)