15/03/01 14:35:50.09
★疲弊する酪農家、バター不足の背景 なぜ生乳の生産量が減っているのか
2015.3.1 07:00
・苦肉の「長命連産」
農水省や同省の関連団体の統計によると、昨年4月から12月の9カ月間の生乳生産量は、
約549万トンと前年同期比で2・0%減った。腐敗しやすく鮮度が命の生乳はまず、
取引価格の高い牛乳(1キロ当たり115円)に優先的に使われる。日持ちがして
取引価格の安いバター(同70円)の生産は後回しになり、その結果、同期間のバターの
生産量は4万4000トンと同7・5%減の品薄になった。これが昨年秋から顕在化した
バター不足の背景だ。
なぜ生乳の生産量が減っているのか。最大の要因は日本の乳牛頭数の減少にある。
同省の畜産統計をみると、日本の乳牛数は1985年の約211万頭をピークに
右肩下がりで減少を続け、1年前の2014年2月は前年同月比2%減の約140万頭と
過去最低になっている。
酪農家戸数の減少も見逃せない。同省によれば、いま全国で約1万8000戸にとどまる。
高齢化が進み、採算がとれない小規模農家がどんどん離農して、こちらも右肩下がりだ。
円安による飼料や資材価格の高騰が酪農経営を圧迫し、この傾向に拍車をかけているという。
今回のバター不足に対処するため、酪農家で構成する一般社団法人・中央酪農会議は2月
中旬の理事会で、2015年度の生乳生産を強化することを申し合わせた。といっても
生産強化の中心は2~3年で食肉に回していた牛を長く飼うことで乳量を増やす「長命連産」
(ちょうめいれんさん)施策の継続にすぎない。
長命連産は乳牛の頭数が限られるなかで学識経験者などが提案してきた苦肉の策で、
これで生乳生産量を飛躍的に増やせるわけではない。農水省は2014年度予算で、
酪農畜産全体で約500億円の予算をつけ、暑さに弱い乳牛が快適に過ごせる牛舎の
環境整備など酪農家の生産基盤強化に取り組む方針を打ち出しているが、即効性に乏しい。
・乳業メーカーの動向も在庫を左右
鍵を握るのが乳業メーカーの動向だ。2月上旬、大手乳業メーカー各社は生産者団体と
協議の末、生産者支援のため、生乳の買い入れ価格(飲用乳価)を今年4月から
1キロあたり3円(約3%)引き上げることで合意した。この乳価の値上げ分
をメーカーは自社内で吸収するのか、それともバターなど乳製品の小売価格に転嫁するのか。
仮に乳価の値上げ分が上乗せされてバターの小売価格が上がれば、消費者はバターを
買うのをためらうかもしれない。中央酪農会議業務部の寺田繁部長は「不足どころか逆に
バターが余ってしまう可能性もあります」と指摘する。農水省は「まさに民間企業の
経営判断なので役所から転嫁をするなど指導はできない。ただ安定供給を要請するだけです」としている。
メーカーの買い上げ価格や経営戦略で不足と過剰を繰り返すバター。不足分は海外からの
輸入品で補うというが、バター不足の根底にある酪農家の疲弊と生乳生産の減少という
構造的な問題は置き去りにされたままだ。
URLリンク(www.sankeibiz.jp)
関連スレ
【経済】バター輸入の運用見直し 農水省、品薄防止目指す
スレリンク(newsplus板)
【経済】バター不足の怪。牛乳やチーズは山ほど売ってるのに、なぜ?
スレリンク(newsplus板)