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★国家の富を毀損する政治家・官僚に要注意 官僚に取り込まれる政治の最近の事象から
2015.01.21(水) 森 清勇
2014年暮れの総選挙では、消費税再増税の1年半延期を問うのが表向きの理由になった感があった。
しかし、安倍晋三首相は「国民の生命・財産や幸せな生活を守るための集団的自衛権も争点と
なることを前提」とした総選挙(「週刊新潮」2015.1.1・8)と位置づけていたし、
実際に街頭演説では憲法改正が自民党の党是であるとも言及していた。
多くの国民は、積極的平和主義で内憂外患の現状打破に意欲を示す首相を支持した。
そして、防衛大臣を除く全閣僚が再任された第3次安倍内閣が発足した。
この際、閣僚たちは主任の大臣たる行政大臣としてだけでなく、日本の将来を見据えた
国務大臣の立場から指導力(政治力)を発揮しているのか、いくつかの事例から検証する。
■国民抜き、財政再建優先の財務省
2014年11月26日付「産経新聞」の「政権の是非を問う」は、「15年間も成長しなかった
日本経済は、とめどなく地上すれすれをさまよえるジャンボ機だった。2年前に機長が
安倍晋三首相に代わり、順調に高度を上げつつあったが、突如エンジンが逆噴射し始めた」と書く。
原因は4月実施された消費税増税で、「墜落を防ぐため、来年10月に予定されていた10%への
再増税を1年半先送りしたのは当然の判断だと言える」と賛意を表する。
しかし、再増税の是非を有識者に聞く政府の「集中点検会合」メンバーの人選は、財務官僚の
意のままになるように、かつて増税反対を唱えた学者・エコノミスト全員が外されていたという。
この不公正ぶりに首相はあきれ、スタッフに「賛成・反対を50対50にしろ!」と命じたが、
時すでに遅く、点検会合では圧倒的多数が「増税やむなし」と説き、財務省受けのいい学者は
「増税見送りの政治コストが大きい」と政治論まで引っ張り出したそうである。
この時点では、3%増税と円安で生活物資は値上がりし、国民の生活苦が鮮明になっていた。
アベノミクスが始まった平成25(2013)年初め以来、実質GDP(国内総生産)は増え続け、
増税後の7~9月期も2%台の実質経済成長率維持で16兆円増えるはずであった。
しかし、現実は前年より約6兆円減り、逆ブレとなる。
ちなみに、平成9(1997)年度の3%から5%への消費税増税で、平成25年度までの17年間に
消費税収は68兆円増えたが、増税によるデフレがその他の税収を163兆円減少させている。
10%への増税はようやく浮揚し始めた経済活性化の目を摘み、経済環境が一転して悪夢と
化すことが明確になってきた。アベノミクスを生き返らせて再浮揚するためには失ったGDPを
取り戻すことが必要であり、財務省や税調などの増税一色は、首相にとって到底受け入れられるものではなかった。
国民の声や、首相の思いは麻生太郎大臣には伝わらなかったのだろうか。
財務相が政治力を発揮して財務官僚の強硬姿勢を抑えたのか否か、大きな疑問が残った。
>>2へ続く
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