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★ベネズエラ:150万人脱出の“絶望”経済 原油安が追い打ち、デフォルト懸念も
更新日:2014年12月19日
原油価格の下落が驚くべきスピードで進んでいる。輸入国の日本にとっては得だが、産油国にとって
は厳しい情勢だ。南米の産油国ベネズエラは、もともと世界最高クラスのインフレと、財政赤字に直面し、
デフォルトの可能性もささやかれていた。追い打ちをかけるような原油安に対し、マドゥロ政権は
有効な対策を打てていない。さらに、政府に対する抗議行動を、力で制圧。
なぜここまで悪化してしまったのか。背景と影響を海外報道からみてみる。
◆チャベス政権の弊害
まず、チャベス前大統領の政治のツケと、同氏死後の混乱が根底にある。
チャベス氏は1999年に革命を断行。石油輸出で得た収益を、無計画に、医療・福祉など貧困層の
生活改善に充てた。企業への干渉を強化して物価上昇を抑え、価格統制にも関与した。
そのため国内産業の発展が鈍った。外資企業に対しては、利潤を本国に送ることも規制。
海外企業からの投資は、GDPの僅か1%であった。(ベネズエラ自動車パーツ輸入連盟AIVRAZレポート)。
この間、政府の累積歳入は累積インフレの2倍以上であり、外国への負債は65%増加した。
政府の歳入が無計画に消費されていたことを意味する(スペインのエコノミスト紙)。
2013年にチャベスが病死するまでに、ベネズエラ経済は完全に退廃していた。
統制経済で毎年ハイパーインフレが繰り返され、輸出は石油だけ(約95%)のため外貨が不足していた。
これが経済の不安定に繋がり、治安も悪化した。
チャベス亡き後、彼に忠実な政治家マドゥロが大統領に就任したが、政治に変化はない。
むしろ、学生らの抗議運動を警察や民兵を動員して徹底弾圧するなど、状況は悪化している。
◆新聞紙が輸入出来ず
外貨不足から、輸入にも規制が加えられた。新聞を刷る為の紙も輸入できなくなった。
政府にとって都合の良くない報道を望まないからだ、とベネズエラ・アル・ディア・デジタル紙は報じている。
同紙によると、国内136の新聞・雑誌のうち、紙不足のために12の新聞と30の雑誌が廃刊を余儀なくさせられた。
1904年創刊のエル・インプルソ紙(El Impulso)は発行部数とページ数を減らし、エル・ナシオナル紙(El Nacional)は
48ページを16ページに減らして出版を続けている。
これに対し、隣国コロンビアの新聞連盟が同業者としての結束を誓い、今年52トンと62トンのロール紙を
ベネズエラの新聞社に提供している。プエルト・リコ、パナマ、トリニダード・トバゴからも新聞紙の
提供をする用意があると伝えられている。
◆ ベネズエラから世界に飛ぶことも困難になりつつある
アリタリアとエアー・カナダは、ベネズエラへの航空機の乗り入れを中止している。各航空会社は国内で
ボリバル通貨でチケットを販売することが義務づけられているが、政府のドル換金が外貨不足で滞っている
ためだ。上記2社の場合は、40億ドル(約4700億円)が未入金となっている(ベネズエラのラ・ナシオン紙)。
このようなハンディーはあるものの、ベネズエラの将来に不安を感じて、既に150万人が国外で生活している。
米国のフロリダ、スペイン、イタリア、ポルトガルなどへの移住が進んでいるという(米国のエル・ヌエボ・ヘラルド紙)。
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