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【地方紙検証・特定秘密保護法】冷静な議論欠く人権派
2014.12.19 07:00
「外交や防衛、事件捜査など特定分野では、当面秘匿することがやむをえない情報がある」
産経新聞ではなく、朝日新聞の社説の一節だ。尖閣諸島沖で中国漁船が海上保安庁の巡視船に
衝突した事件後の平成22年11月6日付朝刊に掲載された。
民主党の菅直人政権が公開を渋った、いわゆる「尖閣ビデオ」流出についての論評である。
社説は「ビデオの扱いは、外交上の得失を冷徹に吟味し、慎重に判断すべきだ」と結んだ。
要するに日中関係を考え、安易に公開すべきではないという主張である。
情報の秘匿に対するこうした物分かりの良さは、いったい何なのか。後に「知る権利」を振りかざし
特定秘密保護法に反対してきた同じ新聞とは思えない。政権が変われば国の安全保障観も変わるのか。
情報の秘匿と公開に関する二重基準と言われても仕方なかろう。
この辺のことを特定秘密保護法に反対する人たちがどう考えているかを知りたいという思いもあって、
今年11月8日、福岡県弁護士会が開いたシンポジウムに招かれて発言した。
メディアに身を置く者として、報道の自由や知る権利、政府による恣意的な運用への監視の
必要性を指摘しつつ、安保上の理由から条件付き賛成論を述べた。
テロリストやスパイ、軍事情報に関する米国や友好国と最高度の情報を共有するには、
わが国にも最高度の機密保持が求められるのは当然だからだ。平成19年には最高度の機密の
固まりといえる海上自衛隊のイージス艦データが漏洩した(※1)。
情報を漏らす国に、機密情報を渡す国はどこにもない。
この法律が国家安全保障会議(日本版NSC、※2)設置法と表裏一体であることも指摘した。
特定秘密保護法がなければNSCは抜け殻同然だ。首相や外相らがどれだけ鳩首会議をやっても、
判断材料となる高度な情報がなければ、時間を浪費するだけである。
不穏な空気を察したのだろうか。シンポジウムに参加予定だった読売新聞記者が急きょ欠席したため、
賛成派はわたし一人の完璧なアウェー状態となった。発言途中にもかかわらず、
年配の女性が突然金切り声を挙げ、「産経は黙れ!」と野次を浴びせてきた。
主催者の県弁護士会は恐縮しきりで気の毒だが、それにしても、この種の会合における言論空間の
狭さは何なのか。国際情勢を理解できない「人権派市民」の集まりでは、冷静な討論など望むべくもなかった。(佐々木類)
◇ ◇ ◇
※1イージス艦データ漏洩事件
イージス艦に関する機密性の高い「特別防衛秘密」を漏らしたとして、平成19年12月、
海上自衛隊の3等海佐が、日米相互防衛援助協定等に伴う秘密保護法違反の疑いで神奈川県警などに逮捕された事件。
※2国家安全保障会議
外交・安全保障の司令塔として、重大情報を一元化するために新たに設置した内閣組織。首相や外相、
防衛相など一部閣僚で構成する。米の国家安全保障会議(NSC)にならい日本版NSCと呼ばれる。
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