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★平昌冬季五輪、日韓共催論の波紋 「長野でそり競技」案浮上なぜ
産経新聞 12月11日(木)7時55分配信
会場整備の遅れが懸念されている２０１８年平昌冬季五輪（韓国）で、長野のそり競技会場を使用する
分散開催案が浮上している。国際オリンピック委員会（ＩＯＣ）は複数国での「共催」を容認したが、
果たして現実味はあるか－。
■「長野でそり競技」案浮上なぜ 開催費削減、ＩＯＣ「賢明な判断を」
そり競技を長野で分散開催する案が浮上した背景には、平昌の大会組織委員会が財政難で開催費捻出に
苦しんでいることがある。そもそも会場建設の遅れが問題視されており、そり競技は特に整備費が高い。
さらに、大会後の維持費もかさむために「負の遺産」にもなりかねない。
アジアで唯一のそり競技会場である長野スパイラルが候補地に挙がったのは開催費削減が目的で、
平昌の「救済」にもつながる。実際、ＩＯＣのリンドベリ調整委員長は「平昌は賢明な判断をすべきだ」
と海外の既存施設利用を促した。
ただし、実現にはハードルも高い。ボブスレーなどのそり競技の実施には選手村の整備が不可欠で、
五輪レーンの設置など輸送面や警備、競技運営費も必要になる。その費用負担をどうするかも不透明だ。
また、分散開催について東京都の舛添要一知事は９日、「長野で平昌五輪のボブスレーをやったとして、
誰が金を払うのか」と述べた。
各国オリンピック委員会連合のアハマド会長は「日本と韓国に協調の機運が出てくれば、支援を惜しまない」
と協力姿勢をみせる。しかし、日本オリンピック委員会（ＪＯＣ）の広報担当者は「ＩＯＣから分散開催を
する際の手順の説明などはなく、平昌の大会組織委員会からも話はない」と説明。文部科学省のオリンピック
・パラリンピック室も「現時点では動きがなく、コメントのしようがない」と困惑している。
■長野、期待どころか「いい迷惑」
そり競技が日本で分散開催される場合、会場の候補になるとみられる「スパイラル」を所有する長野市では、
期待どころか困惑の声が上がっている。
開催の可能性が報道され始めた８日。長野商工会議所では三役会議の前にさっそく話題に上り、ある役員は
「仮に五輪競技を開催するとなれば、スパイラルを大々的に改修しなければいけない」と懸念を示した。
完成から１８年が経過し、施設が老朽化しているうえ、五輪会場として使用する場合は観客席の整備など
多大な費用をかけて改修する必要性が出てくるためだ。中嶋君忠副会頭は産経新聞の取材に「改修費を日本側が
負担するならいい迷惑だ。韓国が竹島を日本に返すというなら話は別だが」と語った。
１０日現在、長野県には３００件以上、長野市には２００件以上の意見がメールや電話などで寄せられている。
ほとんどは「反日的な韓国を支援すべきではない」「競技開催に税金をかけるぐらいなら災害復興に投入すべきだ」
など批判的なものだという。
同施設は約１０１億円かけて建設され、１９９８年長野冬季五輪のボブスレー・リュージュの会場となった。
しかし、現在の使用料収入は約７００万円（平成２５年度）にすぎず、年間約２億円（同）に上る維持費を国と
市が半分ずつ補填（ほてん）して維持しているのが実情。また、平成２６年度は改修に約２千万円かかった。
これ以上の財政負担はできないというのが長野市の本音だ。
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