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★【Ｇ７サミット】首相、論戦をリード〝対中包囲網〟に欧米引き込む 名指し見送りも「誤差の範囲」
2014.6.6 07:56
Ｇ７サミットで安倍晋三首相は、最大の焦点だったウクライナ情勢を奇貨（きか）として、
強引な海洋進出をもくろむ中国への対応をめぐる論議を主導し、対中包囲網にＧ７を引き込む成果を挙げた。
「ウクライナ情勢も東アジア情勢も『力による現状変更は許さない』と私が申し上げ、
Ｇ７で一致した。東アジア情勢については私が議論をリードした」
首相は４日深夜（日本時間５日早朝）、サミット初日の政治討議の概要を記者団に語り胸を張った。
２時間半を超える４日夜の議論はウクライナ問題に大半が割かれたが、それに連動する形で
中国の海洋進出問題が「次なる焦点」となった。時間切れで北朝鮮や中東情勢をめぐる討議が５日に持ち越されたほどだった。
しかも５日午前（日本時間同日夕）の議論では、安倍首相は中国の海洋進出問題と経済政策「アベノミクス」についての
発言を求められ、“主役”になった。「過去のサミットで日本の首相にはなかったことだ」（同行筋）という。
安倍首相は周到に準備を進めてきた。直前の５月末にはシンガポールでのアジア安全保障会議に出席し、
南シナ海と東シナ海で「法の支配」を軽視するかのように振る舞う中国への包囲網形成の必要性を訴えた。
今回のサミットで、中国との経済関係を重視する欧州への配慮から、当初目指していた首脳宣言への名指しでの
中国批判の明記は見送られたが、「誤差の範囲」（同行筋）との受け止めだ。３月下旬のハーグでのＧ７緊急首脳会議で
首相は海洋進出問題で中国を名指しして指弾しており、名を挙げるまでもないというわけだ。
安倍政権はこれまで、クリミアを併合したロシアに対し“緩い”制裁にとどめるなど配慮をにじませてきた。
北方領土問題を抱えるロシアとの関係悪化は回避したいのが本音だからだ。
しかし、今回のサミットで、欧米と共同戦線を張る姿勢を鮮明にさせた。米国に日本の対露姿勢への不満がくすぶっている上に
「対中包囲網に欧州を引き込むにはウクライナ問題で一枚岩の立場をとらざるを得ない」（政府筋）と判断したからだった。
ただ、対露関係で微妙な立ち位置にあることに変わりはない。サミットで“影の主役”となった中露と、
欧米の間で安倍首相の難しいかじ取りが続く。（Ｇ７サミット取材班）
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