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東大病院がシステム事故を矮小化 電子カルテ閲覧不能を公表せず
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「週刊ダイヤモンド」編集部宮原啓彰(2014.04.30)
東京大学病院で昨年10月、作業ミスによる停電が起き、全ての電子カルテがほぼ
1日間、停止する事故が発生した。患者に実態を知らせず手探りで治療を行って
いたことが、本誌の取材で分かった。
「入院患者の氏名や病名さえも分からず、院内は一時パニックに陥った」―。
東京大学病院の関係者の1人は、そう声を潜める。停電が起きたのは、昨年10月
27日の日曜日。時計の針は午後2時半を指していた。
原因は、院内変電設備の定期点検中に、誤って部品の一部を破損、さらに作業
手順の間違いや確認作業の怠慢が重なった人的なミスだ。
もちろん、停電時の予備電源である「無停電電源装置」が稼働したが、停電時
間がその限界を超えたため、院内情報システムのサーバがダウン。一瞬で、全患
者の電子カルテが閲覧できなくなり、医療事故防止のために入院患者が手首に巻
く「患者認識用リストバンド」のバーコードも読み込めなくなったという。
電子カルテやリストバンドには、患者の氏名や病名の他、薬の処方や投与量の
履歴、検査や治療の予定などが書き込まれている。この二つが機能不全を起こす
と、白紙の状態から入院患者の治療に当たらなければならなくなる。
「週刊ダイヤモンド」の取材に、東大病院は「口頭取材は応じられない」として
メールでのみ取材に応じ、事故の事実を認めた上で、「(電子カルテの閲覧は)
ウェブ系のデータ参照システムが障害発生中も利用可能だった。治療行為の遅延
もなかった」と回答した。
(>>2以降に続く)