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従軍慰安婦をめぐる日韓両政府の協議が四月から始まった。オバマ米大統領がこの問題について「ひどい人権侵害」と言及。
新たな展開になっている。日韓の主張の隔たりは大きいが、この問題に詳しい法律専門家は「原点に戻れば接点は見いだせる」
という。双方の主張を整理した。
慰安婦問題が、日韓間の最大の懸案に浮上したのは二〇一一年八月。韓国の憲法裁判所が、慰安婦問題について韓国政府が
解決の努力を怠っているとして「違憲」判決を出したことがきっかけだ。これを受けて韓国政府は、日本政府に二国間協議を提案
したが、日本側は「解決ずみ」として応じなかった。
日本側の根拠は一九六五年の日韓請求権協定にある。条項に人権侵害などに対する請求権問題は「完全かつ最終的に解決」
と盛り込まれているためだ。
しかし韓国内では、日本政府の法的責任をさらに明確にするよう求める声が強く、朴槿恵(パククネ)大統領も、日本に「誠実な対応」
を再三求め、日韓関係が冷え込む原因となっている。
請求権は「完全に解決した」と両国政府は合意したが、法的には請求権そのものまで消滅してはいない。これは日本政府も国会答弁
で認めている。請求権協定に関係なく、日本政府が自発的に請求に応じることは可能だ。
民主党政権下では、実際に国庫からの支出で元慰安婦への償いを検討したこともある。ただ、そうした場合、積み上げてきた戦後
処理の枠組みが揺らぐ可能性があり、日本政府として簡単に応じられない。
日韓の人権問題に詳しい川上詩朗弁護士は「元慰安婦が被った被害の原点に立ち戻り、事実を認め謝罪し自発的に補償することは、
両国の社会を成熟させる上でもプラスになる」と強調。「この問題を、両国民がお互いの歴史認識を共有するスタートとして考え謝罪や
補償の中身の論議を始めれば、歩み寄りは可能だ」と話す。
ソース(東京新聞・政治面) URLリンク(www.tokyo-np.co.jp)
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