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人間の血液や神経、筋肉、臓器など180種類の細胞について、遺伝子の働きを制御するDNA配列のネットワークを特定したと、
理化学研究所を中心とする国際プロジェクト「FANTOM（ファントム）」が27日付の英科学誌ネイチャーなどに発表した。
細胞は主に遺伝子が生み出すたんぱく質でできており、この遺伝子制御ネットワークのデータは各細胞の正常な状態を判別する基準となる。
インターネットのデータベースで無償公開され、がんなどのさまざまな病気を高い精度で診断し、治療法や薬を開発する基盤になる。
また、人工多能性幹細胞（iPS細胞）などを必要な細胞に変える手法を開発する有力な手掛かりになるため、再生医療の実用化が進むと期待される。
人間の体は200～400種類の細胞が計約60兆個集まって構成され、どの細胞にも同じDNAが入っている。
細胞が多様な形や機能に分かれているのは、働く遺伝子の組み合わせが違うためだ。
一つの遺伝子を働かせて制御するDNA配列は多数あり、遺伝子の近くにある「プロモーター配列」と遠くの「エンハンサー配列」に分類される。
プロジェクトは正常な細胞180種類とがん細胞について、プロモーターを計約18万5000個、エンハンサーを計約4万4000個特定し、細胞の種類ごとに働きぶりのデータを得た。
精密な解析技術を開発した理研の林崎良英ディレクターは、「『正常な細胞』を定義する国際標準の辞書ができた。
医療に幅広く役立つが、特にがんの悪性度や抗がん剤の有効性を調べ、効率良く副作用なしにがんをたたく治療法の開発につながる」と話している。
時事通信 3月27日 3時5分配信
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