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長崎県・五島列島は、古くは遣唐使の寄港地として栄え、
大陸との交流の窓口だった。幕末期に、黒船来航に備えて
福江島に築かれた石田城はまさに国防の城で、四方の
うち三方が海に突き出す「海城」だった。現代も、国境を
守るためのこの島々の重要性に変わりはない。
そんな五島列島に今、中国からの波が押し寄せている。
その現状を報告する。(編集委員 宮本雅史)
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平成22年夏、福江島・福江港の沖に浮かぶ無人島の
包丁島が突然、インターネット上で売りに出された。
福江島民が燃料用木材の切り出しに利用していた島で、
売買価格は約1500万円だった。
「中国資本が購入に乗り出してくるという話があった」。
福江島の五島市役所で久保実市長公室長が振り返った。
「最終的には地権者が売却をやめたことで一件落着したが…」。
五島市は、五島列島最大の島の福江島など11の有人島と52の無人島を抱える。
同じ福江島の沖合にある別の無人島、姫島にも中国資本が一時、
触手を伸ばしたことがあった。以前姫島で御影石を採掘していた福江島の
石材店の社長、有川一徳さん(57)が証言する。
「本土のブローカーの仲介で、中国資本が地権者に接触してきた。その後、なぜか、立ち消えになった」
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