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★差別や罵声、どう向き合う 反ヘイトスピーチ模索
在日コリアンらを標的に差別的な罵詈(ばり)雑言を浴びせる「ヘイトスピーチ」に対抗する動きが広がっている。
京都朝鮮第一初級学校に街頭宣伝を行った「在日特権を許さない市民の会(在特会)」に京都地裁が昨年損害賠償や
街宣禁止を命じたが、今もヘイトスピーチはやまない。過激な差別にどう向き合っていくのか、模索が続く。
6日夕、京都市下京区の京都タワー前で、在特会メンバーら約20人が街宣し、拡声器で「朝鮮人どもが暴動
起こしたら殺されるで」と叫んだ。向い側でカウンター行動の約70人が、差別反対のプラカードを上げ、
大声で「帰れ」コールを繰り返した。にらみ合う両グループの間には、京都府警の機動隊員が並んだ。
カウンター行動は、京都以外にも東京・新大久保や大阪・鶴橋などヘイトスピーチが頻発する地域で行われている。
在日コリアンへの憎悪をむき出しにした街宣に対し、激しく抗議の声を浴びせる。カウンター行動が始まった
2009年から参加している京都市の男性は「街宣をかき消し、差別者の言論を拡大させない」のが狙いという。
ただ、カウンター行動側も罵声の応酬や中指を立てる挑発が見られ、共感を呼びにくい面もある。
在特会の元幹部でデモに長く参加する40代男性は「カウンターは『帰れ』と叫ぶだけ。私たちの主張を論破せず、
気にならない」と話す。
そんな中、別の形でヘイトスピーチ反対を発信する動きも芽生えている。13年7月、大阪市のメーンストリート・御堂筋で
「仲良くしようぜパレード」が開かれた。約600人の市民が、太鼓や色とりどりの旗を手に「差別はやめよう」と訴えて行進した。
中心メンバーの伊藤健一郎さん(33)=京都市北区=は「迎え撃って対決するカウンターと異なり、差別に反対する側から
明るくポジティブに訴える狙いだった。ツイッターなどで共感が広がり、予想以上に多くの人が集まった」とし、
今月20日も催す予定だ。
ほかにも、在特会デモの傍らで、在特会側の主張の誤りや背景を通行人に丁寧に解説する人たちが現れている。
在日コリアン社会は、現状をどう受け止めているのか。在特会が京都朝鮮第一初級学校に街宣した時、3人の子が通っていた
龍谷大教授の金尚均(キムサンギュン)さん(47)は「京都地裁で差別行為が断罪され安心はしたが、被害回復の特効薬で
はない。露骨な差別が社会に定着してしまった」という。一方で「カウンター行動や仲良くしようぜパレードの存在で、
日本に味方がいると分かり在日コリアンは救われた」と話す。
「人種差別撤廃NGOネットワーク」世話人の師岡康子弁護士は「政府が『表現の自由』を理由に人種差別法などの
法整備に動かないのは、ヘイトスピーチが顕在化している現実から目を背けている。外国籍の人と交流する機会を多く
設けるなど教育面も大切だ」と話す。
■「在特会」に8日高裁判決
「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などが京都市内の朝鮮学校に行った「ヘイトスピーチ」をめぐる民事訴訟
控訴審で大阪高裁が8日、判決を言い渡す。昨年10月の一審京都地裁判決は、人種差別撤廃条約に基づき人種差別行為と
認定して同会側に約1200万円の損害賠償を命じ、学校周辺半径200メートルでの街頭宣伝を禁じており、高裁の判断が
注目される。
問題のヘイトスピーチは09~10年、在特会メンバーらが当時の京都朝鮮第一初級学校(南区)の公園違法使用に対す
る抗議名目の街宣で行った。判決によると、同校前などで「朝鮮人をたたき出せ」「スパイの子ども」「端のほう歩い
とったらええ」と大声を上げるなどした。
控訴審は今年3月の第1回口頭弁論で即日結審した。在特会側は「表現の自由」を主張し、条約適用を批判した。
学校を運営する京都朝鮮学園側は地裁判決を「行為の悪質性や甚大な被害から極めて妥当な判断」と訴えた。
【 2014年07月07日 23時45分 】
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