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理系白書~この国を静かに支える人たち~/毎日新聞科学環境部著・講談社
(2003年出版)
別居23年「研究したい、子育ても」
晩秋の朝。理化学研究所(埼玉県和光市)主任研究員の川合真紀さん(50)は、
夫で大阪大教授の知二さん(56)を、久しぶりに東京都世田谷区の自宅から
送り出した。銀婚式を迎える二人だが、これまでの同居期間はわずか二年だ。
知二さんは、原子や分子の世界を制御するナノテクノロジー研究の草分け。
真紀さんは、水の表面などの分子を観察する表面化学の研究で知られ、
1996年には優れた女性研究者に贈られる「猿橋賞」も受けた。
子育ては、主に真紀さんが受け持った。実家に身を寄せてはいたが、
同居する両親も働いており、いつも頼りにできない。夕方には研究を
切り上げた。食事や保育園へのお迎えのために、家政婦も雇った。
月給の大半を育児に費やした。大変だったが、あれこれ欲張り、
頭を切り替えながら暮らすのは楽しかった。