14/04/17 14:03:29.45
>>162
本件各論文の発表前においては,責任著者でありながら,実験担当者であるAが提示した最終的な実験結果について,
Aの実験ノートにより実験プロセスを系統的・時系列的に確認することにより,当該最終的な実験結果が科学的信頼性・
再現性を保持していることを確認・検証することを怠ったまま当該最終的な実験結果を公表するという行為を行い,
また,論文3の発表後,Aの実験については疑問点が相当に明確になり,複数の研究者から具体的な指摘までされていた
にもかかわらず,その後もAの実験結果についてそれまでと同様の対応を続け,再現性の認められない論文12を
責任著者として発表するに至り,工学系調査委員会からの提出要請を受けるまでの間,Aが実験ノートを保持していない
ことすら知らなかったのであるから,責任著者としての責任は著しく重い
控訴人が本件各論文の作成の過程において,実験ノートや実験の生データに基づいてAとの間で議論をしていれば,実験
記録や実験試料がほとんど存在しないことを容易に認識し得たのであるから,控訴人の過失は大きいものといわざるを
得ないし,本件各論文が再現性を有しないことを事前に発見することが不可能であったなどといえないことも明らかである
工学系調査委員会が本件各論文の再現性を検証するための実験ノート等の実験記録,実験試料,プロトコル(実験の
手順・条件についての記述)等の提出を求めたが,結局,控訴人からは,プロトコルを記載した新たに整理されたメモや
プリントアウトされた生データしか提出されず,再現性を担保するために必要不可欠ともいうべき実験の条件・材料・
手順・結果等を記載した実験ノート等は提出されなかったのであり,そのため,再実験を求められたが,指定された
期間内に再実験により本件各論文に示された実験結果の再現性を示せなかったのである。
そうすると,懲戒事由該当性の判断の前提としては,本件各論文には再現性が欠如しているというほかない。
本件解雇が相当性を欠いているということはできない。
よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却し,主文のとおり判決する。
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