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研究機関、監査見直し急務
STAP論文・臨床データ改ざん… 紙上座談会「組織側に立証責任」
2014/3/31付日本経済新聞 朝刊
理化学研究所のSTAP細胞論文問題や医薬品の臨床研究データ改ざんなどをきっかけに、研究機関のガバナンスに対する
関心が高まっている。何が問題の背景にあり、未然防止や事後対応はどうあるべきか。日本学術会議の大西隆会長、東京工業
大学大学院の調麻佐志准教授、東芝研究開発センターの土井美和子首席技監の3氏にインタビューし、紙上座談会の形でまとめた。
(聞き手は八十島綾平)
―STAP細胞を巡る問題をどう見ますか。
大西氏 理研の規則では論文投稿は上司がチェックをしたうえで行うとなっていたが、その過程で文章のコピー・アンド・ペースト
や画像の切り貼りなどの不適切な行為が指摘されなかったことは問題だ。内部の監督体制が有名無実化していたのだろう。
理研の検証体制にも課題がある。外部者を入れた調査委員会が問題を検証しているが、委員長は理研の内部者でその他のメンバーは
非公開だ。これでは客観的な検証をしているか分からない。
理研には真相究明と同時に、組織防衛のインセンティブも働く。日本学術会議は昨年12月の提言で、不正が疑われる事案が生じた場合
は第三者委員会を設置し、半数以上を外部有識者にするよう求めている。透明性のある検証体制が必要だ。
調氏 問題の論文は画像の取り違えや切り貼りにより、STAP細胞が存在するか、実験を再現できるかにかかわらず、既に論証が
成立しなくなっている。
科学論文は投稿後、科学的に妥当かを査読者がチェックする。だが、そこでチェックするのは論文の筋と意義であって、捏造
(ねつぞう)などの不正行為(ミスコンダクト)ではない。
論文に疑いが投げかけられた以上、不正行為の有無などの立証責任は理研側にあるが、理研の発生・再生科学総合研究センター
(CDB)は機能不全を起こしている。立証が難しそうなら、もっと早く研究データを保全して公開すべきだった。