08/01/29 16:31:51 0
誤解を招くような表現があれば、今後のために是正されるべきでしょうね。
ミンク鯨などを対象とする捕鯨賛成派ですが、捕鯨が「(単一的な意味での)
日本文化」であり、日本人全体の伝統的財産というのも語弊があります。
捕鯨自体は弥生時代から行われていたとする説もありますし、『万葉集』に
も詠われていますが、京都(=室町以前のまとまった記録を確認できる環境)
で食膳に上がるようになるのは、15世紀の後半からです。
計画的・組織的な捕鯨は、16世紀前半の三河の記録が古い。
どうやら伊勢・尾張・三河方面でこれ以前に始まっていたようです。
これが慶長年間に関東に伝わって一時は鯨バブルのような状況を生じ、かつ
ては丘から頻繁に見ることのできた江戸湾の鯨も激減しました。
とはいえ、やがて北関東にも伝わり、東北地方では明治に雑煮の具に鯨を加
えるぐらい広まったようです。
とはいえ、雑煮自体がハレの食品ですし、江戸期には全国の流通が活発化し
ているので、果たして地元産であったのかも分かりません。
前近代には米も含めて全国いたるところで日常的に食べられていた食材はな
く、ましてや鯨類となると、近代まで全く食べられなかった土地も、少なく
ないのではないかという気がします。
まあ、それを言うなら、国名にあてはめた「○○文化」自体が、近代国民国
家の成立と軌を一にするもので、その中にかつて地域差なしに存在していた
ものがあるかといえば、はなはだ疑問ですが。
こういった「○○文化」に対する当たり前の疑問なしに「日本人の伝統的な
食文化である」という主張が目につくので、全体のものとは言いがたかった
ということを、お伝えしておきます。
また、捕鯨といっても対象とした種類は小型の鯨が中心で(セミクジラはや
や大きいですが、残念ながらこちらはもう獲れないでしょうね)、大型の鯨
類にまでは敷衍できないでしょうね。