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気が重くなると同時に気が遠くなるような本である。
旧ソ連二〇〇〇万人、中国六五〇〇万人、ベトナム一〇〇万人、北朝鮮二〇〇万人、
カンボジア二〇〇万人、東欧一〇〇万人、ラテンアメリカ一五万人、アフリカ一七〇万人、
アフガニスタン一五〇万人(合計、ほぼ一億!)。この数字が何を意味するかといえば、
それぞれの国が共産主義体制になったために無残にも殺された人の数である。
一九九七年にフランスで出版されて以来、世界中で百万部に達するベストセラーに
なった『共産主義黒書』の『ソ連篇』に継ぐ『コミンテルン・アジア篇』は、コミンテルンの
国際共産主義運動、及び、中国・北朝鮮・ベトナム・カンボジアなどのアジア型共産主義
によって、いかに多くの人々が殺され、強制収容所に閉じ込められ、迫害されていったか
を、入手可能な資料から淡々と描いているが、そこから浮かび上がってくるのは、ナチズ
ムのような「悪」の顔をした「悪」ではなく、共産主義のような「善」の顔をした「悪」には、
なぜ限度というものがないのかという疑問である。
共産主義には抹殺すべき「敵」を無限増殖させるシステムが内包されていた。これが
重要である。
ナチズムがかくまで非難されているのに、共産主義はなにゆえに今日まで断罪されず
にいるのだろうかという著者たちの疑問は、もう一度真剣に検討する必要がある。
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