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ギリシア文明の起源偽った白人優位
三浦雅士
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『黒いアテナ』
―古典文明のアフロ・アジア的ルーツ2 上巻
マーティン・バナール著 金井和子訳
藤原書店 5040円
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それがそうでなくなったのは十八世紀、十九世紀になってからのことであって、要するに
ヨーロッパが世界制覇をほぼ成し遂げた頃から事情が違ってきたというのである。その頃から、
白人優位主義が強くなり、ギリシアは独力で成立した白人文明であり、その後継者がローマで
ありヨーロッパであるという説がまかり通るようになったというのだ。そして白人、黄色人、黒人
という序列が「科学的に」成立し、二十世紀に入ってからはそれが極端になって人種差別の
根拠にもなったのだという。
ヘロドトスが、黒海の北まで遠征したエジプト王として描いているセソストリスは、エジプト
第十二王朝のセンウスレトを指す。白人の学者たちが躍起になって虚偽としてきたこの話を、
バナールは一つ一つ反証してゆく。こうして、アレクサンダー大王のはるか十数世紀前、
アジアからヨーロッパにまたがるエジプト帝国を築いた黒人皇帝の姿が浮き彫りにされる。
古代エジプト人にアレクサンダーはセンウスレトの再来に見えたのだ。
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数年前、『ニューズ・ウィーク』誌にギリシャ文化は実は黒人のつくった文化だという記事が
載っていました。そういう可能性がある。たとえばソクラテスはアフリカ系の血が入っている。
だからああいう顔をしているのだとか。ギリシャはエジプト文化から大きな影響を受けていて、
エジプト文化はアフリカの黒人文化の影響を受けている。だからそういうことがあってもおかしくないとか。
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