08/09/14 07:49:45 0
司祭館そのものはプライスが1948年に死ぬ数年前に消失してしまったが、庭だったところを
尼僧の幽霊が歩いていたとか、馬車の幽霊がものすごい勢いでロング・ミルフォードの町のほうへ
丘を駆け下りていった、といった報告がいまだに跡を絶たない。1970年代にはボーリーの古い
教会のほうに注目が集まるようになり、BBC(英国放送協会)などの信頼できる調査員
たちがその教会で、ブツブツ言う音や苦しそうな溜息、側廊に金属を投げ込むような音、重々
しい足音などの不思議な物音を収録した。自然現象や機会などの音がテープに入り込まない
ように注意して録音されたようである。その結果は印象的なものだった。しかし、超常理
論という主観的で経験的な世界では、その物音が何が出す音なのか、誰にも確かなことは
いえないが、実験によって、精神は物質を超越した力を持っていることが示されたように
思われる。つまり、多分、ボーリーは幽霊の出没する場所だと長年の間思い込まれているうち
に、遂にその場所に思いが作用して、ハリー・プライスのインチキな現象とは裏腹に、本当の幽霊が
出たのだろう。
もちろん、超常現象を宇宙の法則に適合させる場合、証言者や研究者の人格が高潔である
ことが重要である。背筋がぞくぞくするような幽霊話には、酔っ払った農夫が村の酒場か
ら家に帰る途中で羊を見て幽霊と思い込み、それを地方の民話とつなぎ合わせて作ったも
のが多い。
数年前、「人間、神話、魔術」という雑誌に超常現象について記事を書いていたとき、信じ
がたい話があまりにたくさん掲載されているので、自作のものを載せてみることにした。
その概略は本書の170ページに出ているとおりだが、私はラトクリフ埠頭の司祭の幽霊をでっち
上げて記事にしたのである。