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巧妙なでっちあげ
もしかしたら、フランク・フォンテーヌが誘拐されたのは事実かもしれない。目撃者は真実を告げよ
うと精一杯の努力をしたのかもしれない。矛盾点は単なる記憶の誤りが原因なのかもしれ
ない。しかし、これほどはなはだしい矛盾を目の当たりにすると、この3人組が意識的に
作り話をこしらえて、衝撃的な細部の情報をつけ沿えたのだ、と考えるほうがすんなりと
説明がつく。
別の可能性について考えてみよう。フランク・フォンテーヌは実際に誘拐されたわけではないが、誘
拐されたと本気で信じていたと仮定する。彼は、異常な精神状態に陥って誘拐事件の幻覚
を体験したのかもしれない。この種の幻覚は、現実に起こりえることが心理学的に立証さ
れている。しかし、もしそうなら、フォンテーヌの2人の友人が問題になってくる。フォンテーヌが幻覚
を見たというなら、彼らの異常な精神状態に陥って同じ幻覚を体験したのだろうか?だと
すれば、何者が彼らに幻覚を体験させ、それが現実の出来事だと思い込ませたのだろうか。
こうした解釈を完全に排除することはできないが、この事件はすべて最初から仕組まれた
ペテンであって、そもそも誘拐事件などなく、いたずらか金欲しさの目的で、あるいは何ら
かの思想的動機から、この若者たちが話をでっち上げた、と考えるのが一番しっくりいく。
3人組みは、ジミー・ギーユが持ちかけた金儲け話に二つ返事で協力している。コントロールの調査に
よると、明らかに彼らのリーダー格であるプレボは、学生時代の名うてのいたずら小僧だっ
たらしい。