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スレリンク(rikei板:282番)
ギーユの著書の中では、プレボが話の主人公となり事件に関する証拠としてわれわれが知りえ
るのは彼の言葉だけしかない。彼の2人の仲間は、蚊帳の外に置かれてしまったようだ。
この著書は、答えを提供する以上に多くの問題を生み出し、プレボが彼独自の事件報告を書
いていると発表したときは、多くの期待が持たれた。しかし、その後同じ年に出版された
「セルジー・ボントワーズ事件の真相」は、ギーユの著書以上に不満足な内容だった。この著書は、
プレボを媒介にして語られた異星人の哲学をやたらと詰め込んだ冗漫で支離滅裂な寄せ集
めデ、科学よりも愛の必要性を説く陳腐な宗教的教えが、地球という惑星だけに限っては
いないということを教えてくれるものだった。
事実上、フランク・フォンティーヌの誘拐事件については一言も述べられてはないなかった。しかし、
プレボが異星人の秘密基地を訪れた話はいくらか詳細に述べられており、そのほかの話の内
容を評価するための尺度を提供してくれている。フォンティーヌが帰還してから間もないある日の
朝、プレボの部屋の呼び鈴がなったそうだ。訪問者は旅行中のセールスマンだった。このまったく
見知らぬ男は、自分はこれからブール・デ・シロ異星人へいかなくてはならないのでプレボにい
っしょに来るように誘いに来たのだといった。ブール・デ・シロというのは、セルジーから約360km
はなれたスイス国境に近い小さなむらのことである。これを読む限りでは、そのセールスマンがそこ
へ行く理由も分からないし、彼らが互いに初対面だとしたら、なぜプレボがそこへ行きたが
っているとセールスマンが思ったのか、その理由も分からない。