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ギーユの著書「セルジー・ボントワーズUFOコンタクト」は、フォンティーヌの帰還からわずか4ヵ月後に出版
した。ギーユの名声と事件に対する強い関心によって、彼らの著書はたちまちベストセラー
になった。しかし明快な結論を期待していた読者はがっかりさせられた。この著書の内容
は、ギーユのジャーナリスティックな論表や別の事件の枝葉末節的な記述が大半を占め、世界中が聞き
たがっていた肝心の目撃者の証言や誘拐されたフォンティーヌ本人の話はほとんど述べられてい
なかった。
催眠術を使えばフォンティーヌが誘拐されたときの体験をもっと思い出すだろうとギーユは期待し
たが、この若者はかたくなに催眠術にかかることを拒んだ。するとプレボが、かわりに自分
が催眠術を受けようと申し出た。その結果は驚くべきものだった。異星人が本当に関心を
持っていたのは、フォンティーヌではなく、プレボだったというのである。そしていまプレボの口を
通じて、異星人がすべてを説明した。フォンティーヌはコミュニケーションを成立させるための手段に過ぎ
なかったのだ。プレボはいま迫っている災厄から地球を救うために、彼らのメッセージを伝える
チャネラーなのだ。異星人は、自分たちのことを宇宙のかなたから来た知的生物と名乗っ
たが、その彼方がどのあたりかについては地球以外の惑星という以外ははっきりした手が
かりは何も示さなかった。オリオという名前のこの異星人スポースクマンは、いささか口数は多いか
もしれないが、親しみやすい性格の持ち主だった。