08/08/30 19:03:12 0
>>402 の続き
一週間の間に、この事件は全世界に伝わった。その一週間、2人の青年は何度も何度も事件
について聞かれた。中には、彼らのいうUFO事件をそっくり信じる人もいた。反対に、彼
らの話が何かの偽装工作ではないかと疑う人もいた。おそらくフォンティーヌのへ兵役逃れを助け
るために仕組んだ狂言だろう、とか、本当は何かもっと凶悪な事件なのではないか、とそ
んな憶測が流れた。しかし、一つだけ確かな事実があった。プレボとヌディエが、直ちに自ら
進んで警察に通報していることだった。彼らの素性を考えてみれば、この点は彼らの誠実
さを示す確かな証拠ではなかったか?
フォンティーヌ自身が語った体験についても、彼の誠実さを疑う根拠はまったくなさそうだった。
ふと気がつくと、彼はキャベツ畑の中で横たわっていた。立ち上がると、主要道路を挟ん
で、プレボたちのアパートのちょうど反対側だと分かった。彼がUFOを見るために車を止めた
場所とほんの目と鼻の先だ。しかし、もうそこには車はなかった。彼は、車と大切な売り
物のジーンズを盗まれてしまったと思い、まだ暗いままのアパートへ向かって急いだ。プレボも
ヌディエも見えなかった。そこで彼は大急ぎで階段を駆け上がり、プレボの部屋の呼び鈴を鳴
らした。一向に返事がないので、彼はヌディエの部屋のほうへ行った。眠そうな顔で出てきた
ヌディエは、びっくりして彼をしげしげと見つめると、大喜びで彼を抱きしめた。ヌディエの
パジャマ姿を見てすでに驚いていたフォンティーヌは、ジソールの市に出かけようとしていたあの朝か
らまる一週間が過ぎていることを知って、びっくり仰天した。
彼は、警察にも新聞記者にもほとんど話すことがなかった。世界中のマスコミが彼の帰還を報
じたが、当局の発表を聞くまで時間に関する判断は控えた。ところが警察は、もはや事件
には関知しないと宣言した。犯罪が行われたわけではないからだ。