05/10/14 22:22:00 0
URLリンク(www002.upp.so-net.ne.jp)
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おそらく、裁判所は、アウシュヴィッツのガス室について
これほど正確に証言できる証人は存在しないと考えていたことであろう。
しかし、反対尋問の終わるころには、事態は逆となり、
ヴルバ博士は、自分のあやまちや嘘について釈明するのに終始することになった。
彼は、自著のなかでは、「詩的な放埓さ」、
彼がラテン語で表現するところではlicentia poetarumに頼ったと自白した。
結局、ちょっとしたドラマが繰り広げられた。
この証人ナンバー・ワンを召喚した検事グリフィスが、
今度はヴルバの嘘に腹を立てて、次のような質問を浴びせかけた。
「あなたの本『私は許すことができない』についての議論のなかで、
この本を書くにあたって詩的放埓さを使ったと何回もクリスティ氏におっしゃいましたね。
証言でもこの詩的放埓さを使ったのですか。」(1636頁)
偽証した証人は攻撃をかわそうとしたが、検事グリフィスは、
今度はヴルバによるガス処刑された犠牲者の数について、
やはり検事の立場を離れた第二の質問を行なった。
ヴルバは多弁を労して無意味な回答を行なった。
グリフィスは第三の最後の質問をしようとしたが、
ここで、ドラマは突然中断し、グリフィスは判事にこう述べた。
「これ以上、ヴルバ博士には質問はありません。」(1643頁)
ヴルバ博士はうなだれながら、証人席を去った。
彼に対する最初の尋問、反対尋問、最終尋問は裁判記録では400頁(1244-1643頁)にわたる。
この箇所は、偽証の検証についての法律学百科事典の項目として利用できるであろう。