05/06/03 22:28:29 0
>>156さん
参考になるかはわからないんだけど。
ヨーロッパ製マスケット銃の暴発が多かった理由は三つ考えられると思う。
①砲手の問題。
正確には暴発じゃなく、取扱者の無知が原因なんだけど。
ホイール式、フリント式が普及した当初、
火種を持っていないのに発砲できることを理解できず、
弾を装填したまま、空砲のつもりで冗談や脅しなど面白半分に引金を引いてしまい、
同僚を誤射するケースを“暴発”ととらえたもので測定は不能。
②銃身の強度の問題。
これはヨーロッパの技術水準が低くさが原因。
当時の銃身は真鍮や錬鉄で作られてたんだけど。
別スレッドで触れたとおり、イスラム圏レベルの精錬技術に到達したのは19世紀で、
それまでヨーロッパは一流の銃用にわざわざオスマン製の銃身を輸入していたほど。
真鍮は銅と亜鉛の合金なんだけど、当時のヨーロッパは亜鉛を精錬する技術がなく、
亜鉛の原石(カラミン)を直接混ぜて真鍮をつくってたから、不純物たっぷりの粗悪品。
もちろん強度もいわずもがなで暴発するのも当然かなって感じ。
③銃の構造上の問題。
これは発火力の弱い火打石を利用し前装式銃であったことに起因することなんだけど。
マスケット銃は火打石や火薬、装填の不備によりかなり割合で不発が起こったみたい。
晴れた日の乾いた状態でも15%、湿っていると30%もの高い確率で不発が起こったの。
1834年英軍の実験によれば、 不発率は理想的な条件下さえ13%という結果がでてる。
不発に気付かないまま、その上に装填を重ね通常量の2倍の火薬に装填してしまって、
暴発につながる事例が多かったようだから、不発率=暴発率と考えていいと思う。
フランス軍医ラレイの報告によれば、1813年暴発による負傷件数は3000件あったんだって。
(参考文献:『世界銃砲史』/岩堂 憲人著/国書刊行会)