07/12/13 11:32:30
―1929年 アメリカ摩天楼にて―
資本家A(以下A)「10年前我々はこの部屋でアメリカの繁栄を願って乾杯をした。」
資本家B(以下B)「それから今日までアメリカは素晴らしい勢いで繁栄を続けてきた。」
A「自動車でも電化製品でも、造ればいくらでも売れたし、株価はどんどん上がる一方。
しかし最近少し心配になってきた。」
B,資本家C(以下C)「ほう、何がです?」
A「自動車でも電化製品も新型がどんどん作られているが、最近売れ行きが
鈍ってきている。」
C「何でだろう、おかしいな?」
B「わが社の電化製品が売れ残って送り返され倉庫に入りきらない。」
A「街では失業者の数が増えているようですぞ。」
C「農村では農産物の値段が下がって農民が困っている。」
A「株価の値上がりは普通ではない。株価が急落するようなことが
あれば大変なことになるだろう。」
B、C「心配要りませんよ。このニューヨークをご覧下さい。続々と
高層ビルが建てられているこの摩天楼こそアメリカの繁栄の象徴です。」
集英社版・学習漫画世界の歴史 第14巻
アメリカとゆれうごく世界 -大恐慌の時代- より