08/04/16 04:20:50
出っ歯は嘘泣きがうまい。
出っ歯は悪さをする度に出っ歯の父ちゃんから折檻を受けていた。
上半身裸にされ、背もたれ向きに椅子に座らされ、革のベルトを鞭代わりにして背中をビシビシやられるのだ。
「ごめんなさい!もうしません!勘弁してください!二度としません!許して下さい!」と泣き喚きながら命乞いをする出っ歯の声と、父親の罵声と、鞭の音が彼らの住む長屋中に響き渡った。
この出っ歯は俺と同じで性根がなく、何度ビシビシやられてもすぐにまた悪さをする。懲りないのだ。
ビシビシやられる度に嘘泣きがうまくなったようだ。
こんなこともあった。
まだ小学生の時だった。
俺と俺の弟の二人で近所を歩いていると出っ歯が現れた。
「ねぇ~なんしよるん?遊園地行かん?」と到津遊園地(現在はいとうづの森)に行こうと誘ってきた。
弟が「なんか、お前金持っとるんか?俺たちは金ないんぞ。俺たちの分も出すんなら行っちゃるぞ」と出っ歯に行った。
出っ歯は「金ないけどタダで入れるけ行こうや」と言う。
俺たち兄弟は、家に帰り母親に強請れば遊園地で使う金程度はすぐに貰えた。が、出っ歯に証明してもらおうということで、敢えて無一文で行くことにした。
つづく