06/08/07 09:31:28
彼の幼少期の思い出。
一歳から三歳の間に重篤な病い。
「父は心配していつも彼の上にしゃがみこんで、彼を情愛と優しい配慮で包んだ」
「彼が治ると、父は…(略)…よそよそしく冷淡になり、厳しく乱暴にさえなった」
「彼の治癒と妹の出生とが一致し、それがなおいっそう両親を彼から遠ざける効果を発揮した」
「この時期、彼が思い出す幸福な瞬間は、ときどき病気になったときのことだけだった。
病気になる、ただそれだけで自分のそばに両親を、ことに父を一時的に引き寄せることができた」
「両親の埋葬に立ち会い、自分がただ一人だけいる姿を自分自身が戦慄をもって見守るという幻想」
ナクトの分析。
(1) 遺棄と両親の愛の喪失に対する苦悶
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(2) 両親のなおざりが原因となった失意の後、両親に対して感じた攻撃性。それは
両親の死をも思うまでの攻撃性だった。
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(3) 苦悶の再現、しかし今度は両親に対する憎しみに対する罰としてだった。