06/11/20 19:37:37
完全なナルチシズムというのは、自分は全知全能であってこの世界にあまねく遍在している
(=世界と一体化している)状態だと思うのですが、どうでしょうか。
自分が神であり、全知全能で、世界と一体となっている状態、すなわち「私=世界」の状態
ではないでしょうか。
そして、人間は人生の始めにそういう状態にいたと想像されます。
生まれたばかり、あるいは生まれる前の人間は、当然ながら自分の知らない事が在る事を知らず、
自分のできない事が在ることを知らず、世界の中に自分以外の存在があることも知らず、すべてが
自分でありそれが世界のすべてである状態・・・全知全能にして世界そのものである状態・・・
そういう状態にいたと考えられます。
人間は始め、主観的に全知全能で「私=世界」である世界にいました。
しかし、実際には何も出来ないし何も知らない(無知無能)状態で自力で生きていく事もできません。
ですから、人間が初めに抱く全知全能感は妄想です。
人間は人生の初めに全知全能妄想を抱くのです。この全知全能妄想を抱いている時代が
1次的ナルチシズムの時代とでも呼べる時代だと考えます。
そのうち、運動・感覚器官が発達するにつれ、現実の存在を知るようになります。
世界のすべてが自分と一体となっていた筈なのに、その一部が次々と離反していき自分ならざるものが
現われてきます。そして、知能が発達してくるに従って、自分の外部に「現実」という或るまとまった意味を
もつ構造が形づくられて行きます。
その間、全知全能妄想は裏切られ続け、失意と憎しみのうちに、だんだんと現実を思い知らされて行くのです。
しかし、全知全能妄想はなくなる訳ではなく、その後も、自我の基盤の一部として生き続けるのではないかと
想像します。そして、この全知全能妄想がナルチシズムの正体ではないかと思っています。